薪ストーブで冬眠したい

薪ストーブのある暮らしについて情報発信します。ときどきる育児ネタ。静岡県中部。ドブレ640CB

【オフシーズン活用】燻製を作るのに薪ストーブは向いている!?①

実は趣味の燻製作りをもう5年以上10年未満ほど続けているのですが、最近「もしかして薪ストーブの炉内ってスモークに向いてないか?」なんてことを考えるようになりました。

もちろんまだ実践したことがないし、仮説の段階なのですが…。そう考えるに至った理由であり、わたくしが今までの燻製作りの試行錯誤の末「燻製をワンランク上に仕上げるポイント」として辿り着いた結論が次の2点あるからなのです。

  • 温度管理
  • 湿度の管理
    ※ もちろん、素材に用いる塩分濃度、塩抜きの加減、風乾のやり方、チップのチョイスも仕上がりの出来に直結するかなり大事なことは言うまでもありませんが。

これって鋳鉄製薪ストーブ本体の特徴である

  • 鋳鉄は良くも悪くもなかなか温まらない=言い方を変えると温度の定常性がある
  • ある程度の機密性があり給気・排煙のルートが確保されている。尚且つコントロールしやすい。

以上の点がすごいメリットになるのではなかろうかと思ったわけです。
というわけで、今回は前後編に別けて解説&検証(実践)してみたいと思います。

「温度の管理について」
基本的なところを解説すると、燻製には燻煙する温度帯によって、

  • 熱燻:80度以上
  • 温燻:30~80度
  • 冷燻:30度以下  に分かれます。

熱燻は非常に簡単です。電熱器でチップを熱してもいいし、火のついたスモークウッドでも放り込んでおけば自然にそうなります。温燻も多少の加減・調節すれば温度管理はそう難しくありません。

↓ 温燻定番の自家製ベーコン。大体乾塩法で塩1.5~2%。毎回その時の気分で軽めのスモークにするか、ガチガチのハードスモークにするか変えています。とにかく香りが違う。これでベーコンエッグとか作ったら朝から泣けますよ。森の香り。

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まぁ、ベーコンみたいなのは良いんですよ。ある程度適当でも美味しくできちゃう。でも冷燻は非常に難しい。
そりゃそうです。煙を出す為には絶対に「何らかの熱源」が必要ですから温度上昇は避けられません。

これをどうやって解決するか。

自分はこれを解決する為に、前はこんな燻煙器なんかも自作し使っていました。(煙を別室で発生させ、ダクトを通じて燻煙室に送り込む、かつ燻煙室は保冷材で温度上昇を防ぐ)

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結果的にはこの方法でいい具合にスモークをかけることができていました。今回の写真の冷燻はほぼこれで作ったと思います。ただし、ちょっと装置が大掛かりになるのは難点ですけどね。

例えばこんな冷燻のメニュー
今まで試行錯誤しつつこんなオリジナルメニューを作っていました。ざっくり言うと、主にそれぞれの素材に合わせた下味(魚介類の場合は乾塩式よりソミュール液での漬け込みが適しています)に漬け、軽く表面を乾燥、そして燻煙。その後、場合によってはオイル漬けにするなどで仕上げって感じです。

・ 例えば、下味をつけて表面を軽く乾燥させた生牡蠣にスモーク(これは敢えてギリギリ表面に火が通り中はレアという火加減を実現しています)。つぶしたニンニクとローリエとともにオリーブオイルに1日~3日漬け込む…とかどうですか? 酒は白ワイン…もいいですが辛口の日本酒や強めの焼酎水割りが合いますね。

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あとは、下味をつけた生赤エビ(有頭)、生ホタテも同様の方法で旨い。(エビは多少塩分濃度を高くしたほうが肴になる)
↓ エビを冷燻後、オイル漬けにする。これは白ワイン。

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↓ ホタテを冷燻直後。果てしなくレアだが、きちんとスモークは乗っている。表面の水分が多少抜け、ねっとりとした食感を生んでいます。

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↓ 盛り付け例。左ホタテ。右カンパチの冷燻です。

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↓ 同様に真鯛のスモーク。面白いのは、非常にたんぱく&繊細なうまみ成分の白身魚(それこそ天然の鯛や平目)がスモークによって適度に水分が抜け、旨味が凝縮することにより、いっそう素材の旨味や持ち味が分かりやすくなる点です。

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↓ 定番のスモークサーモンです。魚系の冷燻と言えばこれですね!脂ののったサーモンを使うので、スモークの乗りは良いです。食べる際は、ディルやイタリアンパセリなどハーブ類を散らし、お好みで軽くオリーブオイルをかけて仕上げると非常に美味いです。特に生のディルは超絶合うというか、必須です。自家製のスモークサーモンはそれだけでメインの一品が張れる存在感ですね。

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↓ イワシの冷燻。これ超絶旨いのですが、ちょっと難易度は高いです。青魚の生臭さを出さないために、鮮度のいいイワシ、下処理、白ワイン・塩・ハーブのソミュール、風乾の加減(乾かしすぎると皮の食感が悪くなり、臭みも出る)、徹底した冷燻で絶対に温度を上げない(イワシの脂は溶けやすく、これまた少しでも温度が上がると臭みが立ってしまう)…といった個人的にはA級難度です。写真はスモーク後、オイルにも少し漬けてあります。

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↓ マグロの生ジャーキー。これは本当に試行錯誤を重ねた一番自信のあるオリジナルレシピ。赤身に醤油・みりん・バーボン・黒コショウを使った液に一昼夜漬け、その後比較的しっかりと風乾(ピチッとシートを使うことが多いです)、だいたい体積が8割程度になるまで水分を飛ばしたら、キャラクターのしっかりしたサクラのチップでじっくり冷燻。ねっとりと、旨味のあるソフトなジャーキーができます。ビーフジャーキーとはまた違った味ですが、でもやっぱりジャーキーしてます。個人的にはウイスキー(ロック、水割り)、焼酎水割りがマッチすると思っています。短冊に切って、お好みでごま油や黒コショウを添えて食べると最高の肴になります。

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やはり冷燻のいいところは、特に魚介類に対する方法として非常に合っていて、前述のように鯛や平目といった白身魚であれば、風乾の時間や燻煙の時間を長くとることで凝縮された旨味、刺身では味わえない食感に持っていくこともできます。
なんで温度管理がうまく行くと美味しくなるのか
冷燻に限らず、特に温燻においても温度管理は非常に重要です。(特に不用意に上がり過ぎないという点)

  • ベーコンのような肉塊系が必要以上に硬くならない(火が通る温度≒たんぱく質の凝固温度)具体的には温燻でも70~75度を超えないこと。それを超えると硬くなります。
  • 牡蠣や白身魚など魚介類の冷燻の場合、身はなるべくレアを保ちたい

薪ストーブに考えられるメリット
言い換えれば「鋳鉄の重厚な箱」だからいいのではないかと考えました。
通常、この重厚な箱を温めるのに使うのは乾燥した薪何本必要でしょうか??ユーザーの方なら経験から感じておられると思いますが、十分な焚き付け・薪が必要です。では、そんな箱を小さなスモークウッドやヒーター&チップで十分に温められるかというと、やはり無理があります。薪ストーブの本体の大きさ、重厚な鉄の箱だからこそ、燻煙発生に伴う多少の熱源にも温度上昇をおさえる効果があるものと考えました。(本来は炉内のあったまりにくさはデメリットですが、今回はそれがメリットになるのではと考えています。)

素人の経験則や感想に基づくため、間違いがあったら申し訳ありません。 引き続いて続編「湿度の管理について」「実践編」と書き進めて行きたいと思いますので、また読んで頂けたら幸いです。