薪ストーブで冬眠したい

薪ストーブのある暮らしについて情報発信します。ときどきる育児ネタ。静岡県中部。ドブレ640CB

【続】燻製を作るのに薪ストーブは向いている!?②

珍しく続き物の記事で、前回の続きです。

燻製器について
燻製をするにあたって、必要なのが「煙」「煙を食材に当てる空間」
後者がいわゆる燻製器や代用としての中華鍋だったりするわけですね。
自分も最初は本を参考にするなどして、

 

 

ダンボール製の自家製スモーカーを作りました。そして作っていくうちに段ボール製にも飽きて次は一途缶を加工して制作。

↓ 廃一斗缶を用いての燻製器。と、その内部のベーコン。

f:id:mishimasaiko:20170808140824j:plainこれに慣れていくと、次は木材で…と次々に発明品(発迷品?)を作っていったのですが途中で面白いことに気づくことになります。

 

「あれ?一途缶より、むしろダンボールで作ったほうが旨くない?」

湿度の管理について

結論から言うと、その理由は燻煙中の湿気の管理にありました。

 

燻製中は燻煙による温度上昇とそれによる水蒸気や素材から出る水分が空気中に放出されています。その水蒸気の如何によってスモークの乗り方、仕上がりに影響することに、ここでようやく気付くことになったわけです。

また、多少仕上がりが悪くなる程度ならまだ良いですが、水蒸気が燻製器の壁や天井に付着し結露した水分(タールまみれの水滴)が食材につくとちょっと最悪な事態で、タールの臭い、雑味の原因となってしまうことにも気づきました。
ということで、その時得られた結論であり、重要だと思っているのが

 

「湿度を適度に吸ってくれ、結露しにくい素材。もしくはそうならない構造。です。」

 

一途缶でも適度に煙を抜いていくように給気・排気を工夫すればいいのですが、これはなかなか調整の難しいところです。

その点、段ボールは厚みのあるボール紙が多重構造になっており、適度に水分やタール分を吸ってくれるため、非常に良い仕上がりが得られることが多かったです。

(完成後の段ボール内部を見ると、タールの付着や煙や熱気、蒸気による変質がうかがえます。そのため勿体ないですが一回で使い捨てにします。あと言うまでもありませんが段ボールは可燃材料なので火の元には十分に注意が必要です。)

もう一度まとめますと
スモークの本懐は「素材の水分を抜く=乾燥させる」「燻煙」による保護効果があり、本来は保存性を高める為のものと思います。

しかし、こと調理・味に対する効果として考えると「独特の風味」を付けるのに加え、「水分が適度に抜けることで得られるうまみの凝縮、食感の変化」も大きな要素と考えています。(むしろ冷蔵庫の普及した現代においては後者のメリットの方が大きいかもしれません。)

そこをうまく行うために必要なのが湿度の管理。

素材から抜けた水分やチップの燃焼による水蒸気が食材に再度付着しないように、タール分が素材につかないように、工夫していくことが個人的にはワンランク上の燻製をつくるコツだと思っています。

↓ 試行錯誤の末にたどり着いた段ボール&一斗缶のハイブリッド仕様。チップの燃焼で可燃リスクがある場所は一斗缶でカバー、上がってくる湿気を適度に吸うために上部は段ボール。二段構造にして高さを出すことで、庫内の温度上昇を緩やかにし、熱源から食材を遠ざける意味もありますが、ドラフトを発生させ煙も必要以上に滞留せず抜いていくという効果も狙っています。

f:id:mishimasaiko:20170808141849j:plain 上の写真の右側がその結果の仕上がりです。先ほどの写真のベーコンと比較すると明らかに表面のテカリが違います。これは燻煙中の温度がベーコンの脂を溶かさない程度におさえられたことと、しっかり水分を抜きながら煙をあてられたことによるサラッと感です。まあ熱燻でガツンと燻すベーコンもインパクトがあって旨いですから、これは好みがあるところだと思いますが。

ちなみにガーゼに包まれているのは「自家製ハム」です。肩ロースに塩、スパイスをすりこみ2~3週間熟成し、塩抜き乾燥後、ガーゼとタコ紐で成型してから燻しました。これもガーゼにべしゃべしゃと水分が付着するようだとあまり仕上がりとしては良くありませんので、今回は成功な見た目です。ちなみにベーコンと違い、ハムはそのまま切って食べることが多いのでこの後、耐水包装をしてから75度で1~2時間ボイルします。それによって中心部までしっかり火が入り、かつ余計な煙の角もとれ、美味しいハムができます。ハムなど加工肉に多用されているリン酸塩を使用していないため、多少肉の食感は違いますが、おそらく本来のハムの味であろうものが楽しめます。

そのために、考えること。
ポイントはおそらく2つあります。

  • 段ボールのように吸湿性のある素材を使う。
  • 煙を滞留(対流)させない。

吸湿性のある素材という点については、上でさんざん段ボールと書いてしまいましたので割愛しますが、実は2点目の「滞留」がこれまたミソだったりします。
というのも、現在巷で売られている特に「小型」「短時間」「家庭のキッチンでも比較的煙の少ない」とされているスモーカー類は、煙を滞留させることで少ない煙で効率的に燻す仕組みになっているものが多くみられます。かくいう自分も一つ持っています。

 

これ「手軽に」「少量」「熱燻を作る」のであれば最高に楽で、漏れ出てくる煙も少ないです。仕上がりも良いです。なので以前、賃貸のマンションに住んでいる時はキッチンの換気扇を全開にして使っていました。

ただし、注意したいのはあくまで「温燻~熱燻」向きであり、「湿気の影響の出にくい短時間の燻煙」のみで効果を発揮する商品だと言うことです。非常に良い商品だと思いますが、この商品の得意とするところを理解して活用していくのが良いと思います。

ということで、話を戻しますと発生した煙を「溜める」ことは、確かにスモークの乗りやすさにつながります。その分早く出来ます。ただし、煙が滞留するということは熱気や水蒸気も同様に滞留していることにつながりますので、上記で述べた点からすればデメリットとも捉えられると分かって頂けるかと思います。

なので「煙は再利用せず、贅沢に使う。たくさん出してたくさん当てる。」これがポイントです。

薪ストーブに当てはめて考える
ようやく薪ストーブの登場です。苦笑
この長々とした駄文を読んで頂いた方ならもうご理解頂けていると思いますが、なぜ薪ストーブなのか、そう考えた理由は…

  • 煙突のドラフト効果。性能の良い煙突であれば燻製程度の熱源でも多少のドラフト効果が得られ、煙を必要以上に滞留させずに排気させてくれるのではないか?
  • ストーブ本体は多少熱が対流させる仕組みになっているが、しかしながら概ね給気・排気にかけてはスムーズに行える設計になっているはず。また、ある程度はエアーのコントロールができるのではないか?

鋳鉄製、鋼板製どちらの製品にせよ吸湿性については全く期待できないため、おそらくメリットとして活用できる点は上記になろうかと思います。

ということで、次回「検証編」です。
大変申し訳ありませんが、何度も申し上げるとおり、まだ実践・検証を行っていないので全て「今まで趣味で燻製を作っていた」&「薪ストーブユーザーである」自分の推測の域を出ませんです。あくまで「もしかしたらいいんじゃないかな?と思うんだけど」なレベルなので大変恐縮なのですが、次回実際にやってみてどうか、というところを書ければと思っています。

 

今回も、需要のない記事を長々と、だらだらと、小難しく書いてしまいました。次回「検証編」で一旦この話はおしまいにして、もう少しライトで楽しい話が書ければなと思います。それでは。