薪ストーブにとって薪の乾燥は命。
ぶっちゃけ樹種は何でもいい、
とにかく薪ストーブに適した含水率まで乾燥させることが大切です。
ということで、今回はちょっとした小ネタ、
「薪ってどうやって乾燥するんだろう」ということについて調べてみみました。
① 木材には水分が含まれている
言わずもがな木は生きていますので、水分を含みます。
で、問題はその量。
伐採時の季節や樹種にもよりますが、おおよそ生木を伐採したときに含まれる水分は50%~80%と言われています。
で、薪ストーブに適したいわゆる「乾燥薪」は含水率20%前後。
最終的にここまで乾燥させたいわけです。
② 水分の種類は2種類ある
木に含まれる水分は「自由水」と「結合水」の2種類があります。
- 自由水:木を切ったときに表面に染み出る水分など、比較的移動しやすい水分。最初にこれが蒸発する。
- 結合水:木材の繊維・成分と結びついた水分。簡単には揮発乾燥しない。
③ 乾燥の順序
乾燥の順序としては、まず自由水が蒸発しきってから結合水が蒸発していきます。
自由水の蒸発は比較的短期間で終了します。
この段階で(文献にもよりますが)、およそ含水率30%前後と言われています。
木材に割れが生じてくるのも大体このタイミングから。
ということで冒頭のこの写真。
これうちの薪。
今年割ったやつですが、既に自然に入ったヒビ割れがみられます。
なので恐らく含水率30%は切っているだろうな、と。
一方で、結合水は中心の水分が少しずつ表層に移動しながら蒸発していきますので恐らくここからはかなり緩やかなペースで乾燥が進むものと思います。
④ 乾燥に必要な条件
以下の3要素が大切と言われています。
・温度
・風通し
・湿度
基本的な話としては、
「表面に移動した水分が蒸発し、それが空気の流れによって離散することで乾燥が進む」わけです。
・温度
蒸発についてはお湯を沸かす場面をイメージすると分かりやすいですが、水を入れた鍋を火に掛けると気化が始まり湯気が出てきますよね。
すなわち水に熱エネルギーを与えると気化させることが出来るわけです。
(ポイントは沸騰していない段階でも湯気が出てくること。つまり蒸発に必要な熱エネルギーは沸点とイコールではない。液体は低い温度でも常に気化している。)
ということで温度は高ければ高いほど気化しやすく、乾燥には有利。
ちなみに、つい先日の薪棚付近の気温。36度…
(湿度計は壊れています)
・風通し
上記のとおり、気化してもそれを離散させることが出来なければ意味がないので風通しが重要。
薪の乾燥においては経験的に「風通しが一番大事である」との話もよく耳にします。
・湿度
表面が(木の水分ではなく)濡れていると蒸発が進みませんので湿度も重要です。
湿度というよりは「雨に濡れないようにしましょう」といった方が分かりやすいかもしれません。
温度と飽和水蒸気量の関係の話もあるけど、その辺は割愛します。
ということで、ここまで読んで「日当たりは?」と思ったあなた。
日当たりはそんなに重要ではない。
(もちろん温度上上昇を考えると良いのに越したことはないけど、最重要ではない)
いろいろな本を読んで調べると、日当たりよりは、「風通し」を重要視すべき&「雨に濡らさないようにしよう」とする記述が多かったです。
⑤ どこまで乾燥するか
その土地の温度・湿度によって乾燥の程度(含水率)の上限が決まってくるそうです。
「気乾含水率」と言います。
これによると日本では天日乾燥で15%程度が絞り込める限界らしい。
『気乾含水率』
大気中に放置された木材が大気の温度条件と湿度条件に対応し,含有水分が平衡(へいこう)に達した状態の含水率。日本では平均15パーセント。標準含水率。(大辞林 第3版)
ただ、あくまで温度条件と湿度条件の変動要因に左右されますので、室内や地形などによっても大分変わるものと思います。
それこそ薪の乾燥にビニールハウスを使っていらっしゃる方もいらっしゃいますね。
あとは樹種・割り方等によっても変動がありそうです。
ちなみに製材所の人工乾燥では、方法や期間、用途によりどのくらいを目標にするかで変わってますので一概には言えませんが、含水率を強制的に絞り込むことが可能です。
業者によっては8%くらいまで絞り込む例もあるようです…
■まとめ
以上、ちょっとした小話でした!
いい薪、作っていきましょう!
そして人間は乾燥しすぎないように常に保湿・水分補給を忘れずに!重要!!
(後書き:今回、長く間が空いてしまいました。何をしていたのかというと普通に仕事が忙しかったのと、7月豪雨災害での災害派遣がらみでゴタゴタしておりました。まだ全く収束しておりませんので、被災された方への最大限のお見舞い申し上げるとともに支援関係者へエールを送りたいと思います。)