うちで使っている薪ストーブはドブレのロングセラーモデル「640CBJ」。
その燃焼性能の高さ、メンテナンス性の良さ、コストパフォーマンスの高さ、鋳鉄の品質の高さなどから今でも売れ続けるまさに薪ストーブの名機です。
そんなドブレ640CBJ760CBJの後継機種が9月1日にが発表されました。
後継機種の名称は「ドブレ640WD/760WD」
DOVRE640WD/760WD デビュー | ニュースリリース | METOS
(画像:株式会社メトス様)
その名の通り、640・760の型番は受け継がれ、さしずめ「マイナーチェンジ」と言った所でしょうか。
ただ、内容を見ていくとどうも「マイナーチェンジ」に留まらない大きな変更点が多いようです。(ビッグマイナーチェンジとか言うんですかね?)
まだ公開されたパンフレットのみの情報ですが、分かる範囲でチェックしていきたいと思います。
■ドブレ640CBJからの変更点
とりあえずパンフレットで取り上げられている変更点を中心に。
①シャープなフォルム
一見オリジナルと同じように見えますが、全てのパーツがシャープなフォルムへと変貌。同時に親しまれていたドブレブラックからマットブラック塗装へ変更し引き締ったボディになりました。
「シャープなフォルムに」とのことですが以前の640/760の形状はほぼ踏襲しており、雰囲気は全く変わりませんね。実機を間近で見れば気が付くところも多いかと思いますが、紹介文の通り写真で一見した限りでは大きな変化は見受けられません。
しかし特筆すべきは塗装です。
今までのドブレブラックは言わば「無塗装」。燻し銀のようなグレーの雰囲気をまとった鋳鉄の黒、個人的にはこのカラーがとても好きでしたが、今回は「マットブラック」塗装に変更になりました。
これによってグッとシャープな印象にはなりましたが、機種の見た目を大きく変える要素の為、ここは好みの分かれるところでしょうか。
②一体式のドアハンドル
これまでの脱着式ドアハンドルは安全面でも効果が高い意匠でしたが、全てのドアハンドルが一体式となり扉の開閉がさらにスムーズになりました。オプションでシーズンオフ用にレザーグリップもご用意しました。
従来の640の扉は開け閉めの際に、ハンドルを半回転させて開き、閉めたらまた半回転させて締めるタイプで「ギュッと締める」ことができた為、安全面では心強さを感じましたが一方で「誤って軽く締めてしまうことがある(半ドアのような状態)」こともあったため、今回の一体式の「カチッと」締まるハンドルは開閉が素早くスムーズに行えるだけでなく、ミス無くしっかりと締められるという点で非常にメリットのある変更だと思います。
③給気コントロールはレバー1本
オリジナルで信頼性の高かった独立式一次・二次燃焼の給気レバーが1本のレバーでコントロール可能になりました。これにより初心者でも給気コントロールを簡単に行なえ、環境への配慮にも応えます。
これは去年リリースされたドブレ・ロックから採用された方式ですね。
従来は一次給気レバー、二次給気レバーの2つのレバーを操作してあたかもマニュアルの車を操っているような自由度の高い操作が行えました。しかし一方では、操作レバーが多いことで慣れていない人には扱い難い、難易度の高さにつながっていたと思います。
他メーカーの機種でも給気レバーは一本で簡単に操作できるのがトレンドになっており、今回のドブレ640WDでもその流れを汲んでの変更になっています。
これはある意味「一次二次給気のバランスがある程度プリセットになった」とも取れ、メーカーの意図した給気が実現しやすいことから、恐らく今回の変更で「燃焼」自体のチューニングも変えられている可能性があります。
したがって個人的にはかなり大きな変化の一つかなと思います。
④外気導入口の標準化
新しい640WD、760WDでは外気導入口を標準化しました。この中に新たなドブレマジックとも呼べる一つのレバーで全ての給気を常にベストな状態にする”給気コントロールディスク”が収められています。
以前の640CBでは外気導入はオプションでした。今回からそれが標準装備となっています。
外気導入は建物内外の気圧差による逆流を防ぐ手段として、特に近年の高気密住宅を中心に普及が進んだようですが、今回の紹介文を読むにどうもそれだけの意図ではなさそうです。気になる装置「給気コントロールディスク」がたまらなく気になるところですが、ここは追加情報を待ちましょう。
⑤バーミキュライトで熱効率アップ
軽量で断熱性の高いバーミキュライトで囲まれた炉室は、着火直後から温度が素早く上昇して煙の発生量を抑えます。可燃物質である煤煙が燃えることで燃焼効率、熱効率ともに高まります。
個人的に必見すべきは、バッフルがバーミキュライト製になったこと。
そしてサイドドアにもバーミキュライトが配置されたこと。
以前、こんな記事を書きましてドブレ640の弱点と思われる点をまとめています。
そこで大きな弱点として「サイドドアが断熱化されていないため、炉内右側の温度低下を招きやすい。→ガラスドアの煤けに繋がっている」との思いを持っていました。
今回の全面バーミキュライトによって、 炉内の温度が保ちやすくなりガラス窓の煤けを防ぐだけでなく、追加薪を入れたときの煙の発生時間の短縮など多くのメリットが予想されます。燃焼効率の高い状態で使用しやすくなる大きな変更点ではないでしょうか。
⑥こだわり抜いた炉内の造形
よりスタイリッシュ化された外観に合わせて炉内の造形も美しく進化しました。サイド扉から薪をくべる時、バッフルにヒットしにくいデザインなど、実用性をアップし美しさにもこだわり抜きました。
炉内の造形はまた実物を見てみたいと思いますが、「バッフルにヒットしにくいデザイン」というのは非常に実用性が考慮された点かと思います。
というのも、「バーミキュライト」という素材はとても衝撃に弱く、すぐに割れてしまうのです。さり気ない所ですが、大事な所ですね。
■主要緒元を比較する
公開されている主要緒元を比べてみましょう。
ドブレ640CBJ | ドブレ640WD | |
本体サイズ | W660 D565 H760mm | W660 D565 H760mm |
重量 | 190kg | 170kg |
色 | ドブレブラック | マットブラック |
使用薪最大長 | 50cm | 45cm |
定格出力 | 9kW(7740kcal/H) | |
最大出力 | 11kW(9460kcal/H) | 11kW(9460kcal/H) |
燃焼効率 | 79% | 80% |
暖房能力(目安) | 46~109㎡ | 45.5~72.9㎡ |
価格(税別) | ¥320,000 | ¥348,000 |
軽量なバーミキュライトを使用する範囲が広がったこと、特に重さのあるバッフル板がバーミキュライト化しためでしょうか、重量は20キロ軽くなっています。
そして恐らくサイドドアにもバーミキュライトが配置されたり、細かな炉内の変更が行われた為か、使用できる薪の最大長も5cm短くなっています。
燃焼効率についてはスペック上、ほぼ変わりはありません。(そもそも燃焼効率のカタログ値なんてあまり意味はないのですが。)
価格については、ややアップしていますが元々「外気導入キット」がオプションで29200円であったことを考えるとお値段ほぼ据え置きと言っても良いレベルかと思います。
■個人的に思うこと
個人的にドブレ640CBは基本性能の高い、非常に優れた薪ストーブだと思っています。
使っていて大きく困ることもありませんし、性能、使いやすさ、メンテナンス性、価格などのバランスの取れた非常に完成度の高い製品です。
しかし、上でもリンクを張りましたが「欲を言えば、ここが弱点かな」と思うところが上でもリンクを張りました以下の点。
今回のビッグマイナーチェンジで、この辺りの弱点がどう改善されているかがとても気になるところです。
そして、
「給気レバーが一本化されたこと」「外気導入が標準化されたこと」「全面バーミキュライトされたこと」は恐らく基本的な燃焼を大きく変える事件だと思います。
姿かたちこそ従来のドブレ640と同様ですが、おそらく見せてくれる炎は別物のはず。
正直、これは大ヒットになる予感。
自分もいつ実機を拝見できる機会に恵まれるか分かりませんが、今回ばかりは是非とも見てみたい。その炎を実際に見てチェックできたらと思っています。
まだメトス公式にもオフィシャルサイトが立ち上がっていませんが、パンフレットをダウンロードすることができます。
これから導入を検討される方にとっては、かなり魅力的な機種となるのではないでしょうか。
DOVRE640WD/760WD デビュー | ニュースリリース | METOS
以上、参考になれば幸いです。