今回は薪ストーブについての小話「ガスケット編」です。
■ガスケットロープとは?
一言でいえば、「ガラス繊維で出来たロープ」です。
(一見すると普通のロープのように見えますね。写真は白ですが、黒が多いと思います。)
薪ストーブの気密性を確保するため、扉などの開閉部に付けられていることが多い部品で、例えるなら水筒のゴムパッキンのような存在。
かなり地味な存在のように思えますが、流入する給気量を設計段階で絶妙にチューニングされた現代の薪ストーブにとって、本体の気密性確保は極めて重要な要素。
ガスケットロープはそこを支える大切なパーツです。
ただ、悲しいかなガスケットロープは消耗品。
高熱に晒しながらの使用でガラス繊維が劣化してきたり、開閉を繰り返すうちに繊維が潰れてきたりと、次第に性能が低下します。
気密性が落ちると本体内部に隙間風が吹いているような状態になりますので、設計通りの燃焼効率が出せなくなるばかりか、熱効率や燃費も落ち、ストーブ本来の性能が十分に引き出せません。
まさに薪ストーブにとって「縁の下の力持ち」的な存在、一般に数年に一度の交換が推奨されているものになります。
■替え時は?
ガスケットロープは消耗品ですので、いつかは必ず劣化し交換が必要になります。
ネットで見る限り、一般的に言われる目安は…
- 数年に一度
- 繊維が潰れてボリュームが無くなったら
- 給気レバーを絞っても空気が入り過ぎるようになったら
などと言われることが多いようです。
■ガスケットロープのチェック方法
ただ、そうは言っても
「ガスケットが潰れると言っても、どう判断していいかよく分からない」
「どこまで劣化したら替え時なのか判断に迷う」
そんな声もあろうかと思います。
そこで、簡単にガスケットの気密性をチェックする方法をご紹介します。
(以前、薪ストーブ界の有名人かわはらさんに教わった方法です。)
お札を扉に挟む。抵抗なくスッと抜けるようならガスケットが潰れて気密性が失われている為、替え時まで来ていると判断。
これだけです。
特別な道具は使いませんし、手順もとっても簡単ですね。
■初シーズンが終わったタイミングは要チェック
新規に薪ストーブを導入して、「本体も新品だし数年は交換しなくても大丈夫だな」と思っている貴方、実はここが要注意ポイントです。
「本体が新品でも、ガスケットは中古」
確かに本体は新品ですが、ガスケットは本体にセットされて扉が閉められた時点で劣化・消耗が始まります。
つまり工場出荷から倉庫で在庫されている間にも扉はがっちり閉められているわけで、その時期からガスケットは潰れていくわけです。
例えるなら懐中電灯を買った時に最初から入っている電池は弱いですよね。それと同じことが起きているわけです。
そのような状況ですので、一年目のシーズンを焚いただけなのに予想以上にガスケットがへたっていた、という事態もあり得るということがご理解頂けたかと思います。
(※メーカーやストーブ店によっては出荷時、施工時に再度ガスケットの状態をチェックし、そのような事のないように対応している所もあるようです。)
ですのでストーブ設置し、初シーズンが終わったタイミングで、ぜひガスケットの状態をチェックされることをお勧めします。
(※実は、まさにうちのドブレ640がこの状態だったので…)
■ガスケットは自分で交換できるパーツです。
いざ、ガスケットロープを交換しようとして、当然、設置してくれた薪ストーブ店に依頼するのも良いと思います。プロの技術であればさほど時間も掛からないでしょうし、きっちりと作業してくれることだろうと思います。
ただ、ガスケット交換はユーザーでも十分に行えるメンテナンスでもあります。
実際、うちのドブレ640CBJの取扱説明書にも「ユーザーが行えるメンテナンス」として作業手順が掲載されています。
〇実際の手順としては、
- 劣化したガスケットロープを取り外す
- 溝に残った耐火セメントをマイナスドライバー等で削り、きれいに除去する
- 新しい耐火セメントを塗る
- 新しいガスケットロープをはめこんで接着する
こんな感じです。パッと見、これを自分で行うのは大変そうですが実はそんなに難しい作業ではありません。
また、ネットを探せばユーザー自らガスケット交換を行った記録も多く読むことができ、作業のコツなどを学ぶことができます。
部品であるガスケットロープや接着用のセメントは薪ストーブ店で取り寄せてもらうことも勿論できますが、最近はネットでも簡単に購入できます。
(ただし、使用するガスケットのサイズはストーブによって違いますので取扱説明書などで要確認。)
■まとめ
ガスケットロープは燃焼にかなり左右するパーツですので、場合によっては交換することによってかなり性能アップ効果や満足度が見込める作業です。
ぜひ、日頃から状態をチェックしておくと共に、ユーザー自身でメンテナンスが行えるようになっておきたいところですね。
自分もがんばっていきたいと思います!!