ここ数年音沙汰のなかった大学時代の友人Iさんから久々のメールが届きました。
突然なんだろう?なにかあったかなと少し心に小波を感じつつ開封すると
「地元で面白い薪ストーブを見つけたよ」と。
はて?彼にこのブログのことを伝えたかなぁ。
しかしSNS連携&連携のこのご時勢。もはやどこでどうつながって情報が伝わっていてもおかしくありません。
別に害もないですし、あまり深く考えずに旧友のメールを読んだわけです。
※ちなみに株でがっぽり儲かったりはしていませんので残念ながら。座右の銘は「塩漬け」であります。笑
折角ですのでIさんとのことを少し。
高知県出身の彼とは大学時代に知り合い、同時期に某部活に所属。
これが非常に趣味性の高い部活でして、同好の士として日々あれやこれやと語り合い、お互い地元を離れた横浜の地で下宿暮らしということもあり何度も何度も深い杯を交わした仲です。
少々口の悪いわたくしとは違い、絶対に他人の悪口は言わず、そして冗談の上手いIさん。
そして全くそんな素振りは見せないけれど実際かなり頭の良いIさん。
入学卒業は彼が一期上ですけれど、当時から今まで彼はわたくしのことを「○○さん」と呼んでくれるIさん。
欲しいものがある時は銀の玉にお願いしてゲットするんだよ♪とパチンコを教えてくれたIさん。
※でも当時は種銭もなかったので打たなかったですね自分。
大学は冬休みだ、ともなれば金が無い暇だということで連れ立って某大手運送会社にアルバイトしに行ったこともありました。
(しかし彼は深夜バイトが合わなかったのか数回でばっくれたのであった。わたくしは最終日まで勤め上げたというのに…)
まぁ楽しい日々でしたねぇ。。。。
しかしながら学年は着々と進み。モラトリアムは終焉に向かいます。
ロスジェネ世代まっしぐらの私ですから、大学卒業当時はまさに就職超氷河期。
大学内を見渡せば、普通に就職活動して普通に何十社も落ちて、ノイローゼになり、挙句意味も無く自主留年を繰り返したり、開き直ってフリーター化したり、もう散々な状況。
もうそれが当時の普通な空気だったのですが、しかしそんな先輩方を脇目に見ていると、もう真っ当に就職できる予感など無いわけです。
そこで彼と僕は「これはもう公務員試験しかない」と。
で、彼は地元高知県の某公務員試験を受験し、スッと合格。地元へ戻る。
それを見て「なんだ、結構簡単に受かるもんだなぁ」と勘違いしたわたくし。
民間就職は一切考えず、就職活動を放棄。
バンド活動にうつつを抜かしつつ、のんびり学生生活を継続してしまいました。
※ノンキャリの大卒地方上級レベルとは言え、市役所も県職も氷河期の当時は志願者も多く狭き門。実際はそんな簡単な話ではなかったと思います。
これでどこも受からず晴れて無職の轍を踏めば残念なお話しとして過去語り的にはとっても良いオチがつくのですけれど、残念ながらそうは為らず。
Iさんを真似てわたくしも地元の公務員試験をいくつか受験し、偶然ですが全く同じ職種にするっと合格。県は違えど晴れて公僕となったわけです。
まぁラッキーでしたね。。。。
民間はどこも受けなかったので結局エントリーシート等も1枚も書かずに済んでしまいました。
まぁそんなわけで、Iさんとはちょっと似たような道を歩んだわけです。
しかし、その後の運命は少し違います。
その後、適正バッチリだったのか地元でえっさえっさと出世し始めるIさん。
その後、途中でなんか自分の将来が見えちゃった気がしてドロップアウトをキメるわたくし。
そう。
ガヤさんを何度か襲った人生の岐路のひとつがこれです。
当時はまだまだ世間の就職状況も良くないというのに、後先考えず退職。
まぁでもそんなご時勢ですので、仲間内にはフリーター、プータロー、ニート、ブラック従事者、行方不明者などいくらでも居ましたからあまり切迫感はなかった気がします。
結局、1年ほどフラフラし、資格に頼って生きる方向に舵を切ったわけですが…。そして見事に社会復帰しのんびり生きておるわけですが…まぁそれはまた別のお話です。
結果、Iさんとは同じ職業畑ではなくなりましたが、以降も年賀状をやり取りしたり、数年に一度二度メールをやりとりする関係でした。
ということで私にとって大切なお友達Iさんです。
そんな彼がまさか薪ストーブのネタを振ってくるとは思わなんだ。
ということでコレも何かの縁、
見ず知らずのそのストーブ、記事にしてみましょう!
とまぁ今回そういう成り行きで御座います。
(そして画像に意味はありません。)
ここからが本編。
高知県に面白い薪ストーブがあるようですよ!?!?
■小磯鉄工さんの「ロボット型 薪ストーブ」
今回ご紹介するのは高知県土佐清水市の小磯鉄工さんが造られている
「ロボット型薪ストーブ」です。
なんと外観はこんな感じ。
画像出典:小磯鉄工ホームページ
うん、なんか「鉄人28号」みたいだねぃ!!
少なくとも薪ストーブには見えないね!!
世代的にはちょっと前時代的なロボット観というか…
あ、サクラ大戦の霊子甲冑(光武 改)も近いかもしれません。
こっちの方がわたくしとしてはシンパシーを感じます。
しかしながらこの遊び心。
薪ストーブって本来は実用性の塊のはずです。
しかし他に有効な暖房手段も多い現代においては「趣味性」が占める部分も相当なものだと思うんですよね。
その点で、ちょっとこのストーブは遊び感覚が(ちょっと他にはない方向ではありますが)突き抜けてる気がします。
いいですね、そういうの好きですよ。
・「意外に」実用的なオーブン機能も装備
この明らかに外観ありきで造ったであろうデザインもさることながら、目に入るのは上下2つのガラス窓。
そう、これ下が燃焼室で、上はオーブン室になるようですよ。
(さり気なく実用性もアピールしている…)
当ブログでも散々、薪ストーブ炉内調理について触れていますが、オーブン室での調理は天板調理とも炉内調理ともまた違った特徴を持っています。
自分がメリットとして感じている点をごく簡単に言うならば、
- 行える調理は基本的には炉内調理と同じ。
- ただし炉内でメラメラ炎をあげ、熾き火になっていなくても調理可能。
これですね。
特に鋳鉄製のストーブ比べ鋼板製ストーブは保温性に劣りますから、炉内を巡航燃焼させながら火力を維持して調理できるという点でメリットがありますね。
こういうオーブン内に設置するバイメタルの温度計とか併用すればより便利に使えるはずです。
・素材は鋼板製
公表されているスペックは以下の通り。
- 材 質 鋼板
- 本体サイズ 幅 950mm × 奥行 800mm × 高さ 900mm
- 火室サイズ 幅 320mm × 奥行 500mm × 高さ 250mm
- オーブンサイズ 幅 280mm × 奥行 350mm × 高さ 130mm
- 最大薪長さ 500mm
- 重 量 200kg
- 煙突径 150mm
- 熱出力 9000kcal (10.4kw)
- 暖房面積 15~25坪 (50~82㎡)
煙突径は一般的なサイズです。
そして素材はやはり鋼板ですね。
薪ストーブにおける素材は大きく分けて「鋳鉄」と「鋼板」があり、それぞれメリットデメリットがあります。
- 鋳鉄製:本体が温まりにくく巡航温度に達するまで少々時間が掛かる。ただし一旦蓄熱すると長時間温かく炉内の保温性も高い。
- 鋼板製:本体が温まりやすく、短時間で巡航温度に達する。ただし炉内・本体の保温性は低い。
このロボット型ストーブのスペック上特筆すべきなのは、その重量。
なんと200キロあります。
一般的な同サイズの鋼板製ストーブは大体100キロ前後。
超高性能な鋼鉄製ストーブとして名を馳せるハンターストーブの大型機イングルヌックでも160キロ程です。
恐らくこれはロボット型ゆえの手足の意匠による重量増なのでしょうか。。。
その分の体積アップ・重量アップが熱効率向上に寄与してくれるかどうかは分かりませんが、とにかくこの重量です。場合によっては床の補強工事も必要な感じですねこれは。
無骨さというか、質実剛健さはビシビシ伝わってきます。
ちなみにほぼオーダーメイド対応で、いろいろと注文にも対応してくださるようです。
お値段は65万円から。
薪ストーブとしてはハイコストの部類ですが、オーダーメイドとして考えれば安い?のでしょうか。
・燃焼性能については不明な点も。
残念なことに公式サイトに表記されている情報では、肝心の燃焼にどのような機構が備わっているか分かりませんでした。
ただ、外観から推測するに極めてシンプルな構造と思われますので二次給気穴によるクリーンバーンもしくは二次燃焼機能無し、という感じでしょうか。
世の中には一次燃焼だけでかなり完全燃焼に近いレベルの燃焼性能を持つ機種もありますので、必ずしも二次燃焼機構が必要というわけではありません。
しかし、近年の薪ストーブブームにおいて「煙はどれだけ出るんだろう」という視点は導入希望者にとって大きな検討要素であると共にメーカー各社ともしのぎを削って努力されている面です。
したがって「クリーンな排気をどう確保しているか」という情報がないのは少し残念でした。
・暖房としての特性
公式ページに表記された情報を見てみると、本体各部がどれだけの温度に達するかという情報がありました。
- 天板 ~250℃
- 正面 ~300℃
- 側面 ~350℃
- 背面 ~350℃
- 底面 ~100℃
- オーブン ~450℃
天板がMAX250度ということであれば、実用上では「やかんのお湯はなんとか沸くけど時間はかかる」レベルです。
まぁ燃焼室の上にオーブン室をはさんでの天板温度なのでこれは構造上、仕方無いと思われます。
一方でこれは面白い、というかこの機種の隠れた特徴だなぁと思ったことがここにもありました。
それは正面だけではなく背面も350度まで上がることです。
正面は300度なのに、です。
なので当たり前のことですが、背面には空気層を設けた「確実な」炉壁が必須です。
そして某鋼板製ストーブもそうでしたが側面の熱放射もかなりあるようですので、しっかり炉台面積も確保したほうが良さそうですね。
というのも、最近は背面や側面がそこまで熱くならない機種も増えているんですよね。
最近の薪ストーブのトレンドとして、極端な話「炉内に断熱材を使い、正面の熱放射だけに特化する」流れが目立ちます。これによって炉内の保温性を高め、高い燃焼効率を実現&維持するように設計しつつ、またそれによって少ない薪でもきれいに二次燃焼し、多少空気を絞ってもガラス窓が曇らないという効果をもたらしています。
そんなわけで、特に背面や側面にヒートシールドを標準装備している機種も今や珍しくはなく、炉壁との遠隔距離や炉壁の自由度にも一役買っているわけですね。
ということでこのストーブはちょっと上記のトレンドとは一線を画す面があるのかなと推測します。
一応、念のため書いておきますが、自分はけして「デメリット・欠点」と見たわけではありませんよ。
今でもこういうストーブはありますし、これはこれで使い方次第です。
例えば、いっそのこと壁側に設置するのではなく、部屋の中央に炉壁無しで設置したら360度全方向に熱が広がり良いのではないかと。
例えばこういう設置だといい感じかもしれません。
ね、これだとかなり暖かいと思います。
今のストーブだとなかなかこういう配置が取れなかったりしますし。
何はともあれ、遊び心満載の一際目を引くデザイン。
あっと驚くようなストーブが欲しい!という方は良いのではないでしょうか。
■その他のラインナップ
ちなみにこの小磯鉄工さんのストーブは標準サイズとは別に「ミニ」も存在するようです。
画像出典:小磯鉄工ホームページ
はい、見た目はほとんど変わりません。
値段は43万円からとグッとお安くなりました。
重量も100キロと半分。
最大薪長は35センチなので少し薪は選びますね。
そしてこれは薪ストーブではありません。
「ロボット型の七輪」だそうです。
画像出典:小磯鉄工ホームページ
あらかわいい。
お値段3万7800円~
これは価格もグッと現実的ですね。
画像出典:小磯鉄工ホームページ
こんな感じに鍋を載せると、うん、なんかいいですね。
微笑ましい系かわいさ。
まとめます。
ということで、ひょんなことから知る由となった小磯鉄工さんのロボット型薪ストーブ。
与えられた情報の中で言いたい放題の傍若無人ぶりで大変申し訳ない内容ではございますが、個人的にはこういう遊び感覚は共感できるものがあります。
(実用性とか性能とか燃焼はこの際すべて置いておきます。笑
ということで、
興味のある方、ぜひご検討くださいませ。