9月もそろそろ終わりに近づき、朝夕の涼しさが出てきました。
薪ストーブユーザーの皆さんにとってはシーズン開始のタイミングを伺う微妙な季節になってきますね。
※最近は暖冬で、年によって焚き始めの日がズレまくっています。
今回は安全・快適に薪ストーブを楽しんでいくため
「直前にやっておきたいチェックポイント」をまとめてみました。
■はじめに
以下の点を前提としていますので宜しくお願いします。
- 住宅用の薪ストーブの話です。
- 煙突掃除はシーズン終了後にしっかり終わっている前提です。
- 薪が乾燥しているとか、焚きつけを用意しておきましょうといった話は今更当たり前
なので省きます。
その上で、
「数ヶ月ぶりに薪ストーブに火を入れる」前にやっておいた方が良いであろうことを挙げています。
やることはどれも簡単なことばかりですが、意外に見落としやすい点や大惨事を予防できる内容になっていると思います。
ご参考にして頂ければと思います。
■薪ストーブシーズン直前にやっておくべき5つのチェックポイント
今回の内容は以下の5点です。
シーズン初焚きの前に確認しておきましょう!
- ① ガスケットロープの確認
- ② ガラス扉、操作レバーの確認(固着している、完全に閉まらない、ガラスのヒビ)
- ③ 煙突内の確認(鳥の巣、蜂の巣など)
- ④ 外気導入をしている方は通気口(給気口)がゴミで塞がれていないかチェック
- ⑤ ストーブ周りを整理整頓。可燃物に注意!
特に②とか③は気をつけないとちょっと笑えない事態になる可能性があります。
⑤はオマケというか、当たり前のことですが火事を防ぐためにこのタイミングで再度やっておくのが良いと思います。
① ガスケットロープの確認
最近の薪ストーブは非常に本体の機密性が優れていて、それ故に
- 炉内の温度を高温に保ち完全燃焼を促す
- 空気を薄くしてオーロラのような炎が出せる
このような魅力的な性能を引き出しています。
ガスケットロープとは、こういうやつ。
通称ガスケット。
本体の開閉部がきっちり空気を遮断するように取り付けられた不燃性のガラス繊維です。
主に前面のガラス扉のフチに取り付けられています。
機種によっては扉以外の色々な場所にガスケットロープは使われています。
- 薪の投入口(アンコールのトップローディング部など)
- 天板(ドブレ640CB/760CBなど)
- 灰受け室(ドブレ640CB/760CBなど)
このガスケットは消耗品です。
度重なる開閉によってクッション性は失われ、過酷な高温での使用によってボロボロと劣化していきます。
問題はこの劣化によって、炉内に「すきま風」が入るようになるため、薪ストーブの素晴らしい性能が発揮できなくなることです。
なのでシーズン前に最終チェックしておきましょう!!
⇒ チェック方法
お札を挟んでみる。
お札の厚さは約0.1mm
これが通らないようであればOK
スッと入るようであればそのガスケットはヘタって機能を果たしていないかもしれません。
交換はお店で頼んでも良いですが、自分でも十分に交換できます。
部材もネットで買えます。ホンマあたりが無難です。
太さは機種によってマチマチなのできちんと調べて購入しましょう。
なぜこのチェックをシーズン直前に行うかというと、
オフシーズン中にガッチリ扉を閉めてしまいガスケットがヘタっている事があることと、万が一修理となった時に「1~2日間はストーブの使用を止める」作業になりますのでシーズン前であれば修理が行いやすいという理由からです。
※耐火セメントで接着するのですが、これが固まるには1日~2日ほど掛かるため、
メイン暖房として毎日焚き続けなければならない状態だとその間使えなくなってしまうのです。
※シーズン中であれば、ガスケットボンドならすぐに接着できます。
⇒ いざという時はコレですね。
②ガラス扉、操作レバーの確認
同じくガラス扉や給気の操作レバーを動かしておきましょう。
起こりがちなのが、こういうヒンジの部分の固着。
またはピンの浮き、歪み。
(ピンが浮いてると不意に扉が脱落したり危険。歪みがあるとスムーズに開閉できなくなります。)
オフシーズン中は梅雨~夏場の湿気の多い時期になりますので、サビが発生して固まったり動きが悪くなったりします。
自分は気づいたサビはブラシ等で除去し、潤滑剤などを吹くようにしています。
(あると意外に便利なワイヤーブラシ。)
(そして何でも使える万能選手KURE 556)
また、これは滅多にないと思いますが前シーズンの焚き方や長年の使い方によっては、本体や扉のパーツがが熱で変形し歪みが出ることがあるようです。
そうすると所謂「建て付けが悪い」状態になり、しっかりと閉まらなくなっている可能性もあります。
薪がガンガン燃えているのに、扉がしっかり閉まらないのはハッキリ言って超危険ですので、必ずシーズン初焚きの前にチェックしておきましょう。
・給気のレバーについても同様です。
空気を調節しようと思ったら出来ない…ということにならないように事前に簡単に動かしておきましょう。
・ガラスのヒビ割れや掛けにも注意。
ガラス窓のヒビ割れは流石に気づくと思いますが、燃焼中に崩れ落ちると火事の危険性大ですので、きれいに磨きがてらチェックをおススメします。
(過去の使用中に薪が当たって内側から傷が付いてるとちょっと危ないです。特に釘の刺さった廃材等を燃やすときには傷つけないように注意が必要です。)
③煙突内の確認~野鳥が巣を作ってたら困りますので!!
煙突掃除をやっていないために煤やクレオソートで詰まらせているのは論外です。
ここで注意しておきたいのは「その他の異物」です。
そう、自分はまだ経験がありませんが…
煙突の内部に野鳥や蜂が巣を作ってしまうことがあるらしいのです!!怖!
(主にトップ付近)
寒くなって薪ストーブを焚き始めたら、煙突内で鳥が暴れだしたとか…
ちょっと嫌ですよね。
(いや、かなり嫌ですね)
春に煙突掃除をやっていてもその後に巣を作られると正直防ぎようがないので困ります。
チェック方法
⇒・まずは外から煙突トップを目視。鳥の出入りがないか、目に見える異物がないかチェック。
・届く範囲で煙突を叩いてみて音が変じゃないか確認。(シングル煙突ならなんとか。二重断熱煙突は防音・遮音性能も高いので打刻音でのチェックは少し厳しいかもです。)
・なんか詰まった音がする場所があったら面倒ですが再度煙突掃除。
最終的には煙突トップを確認しに上がる…のがベストですが、、、
異物の確認のためにブラシを下から通すというのも有効な手かと思います。
シーズン終わりの清掃目的ではないのでガッツリとブラシを通す必要はないですが、一度通しておけばある程度はチェックできます。
現在、ネット購入できる煙突掃除のブラシはかなり選択肢が広がっています。
値段もピンキリですが、ある程度しっかりしたものを買う方が良いかも。
自分は前回ホンマの煙突棒を買ってみて、本気掃除で使うにはやや難ありと思いましたがこういう用途なら十分かもしれません。
※今回の趣旨からは少し外れますが、そもそも鳥が侵入しないような煙突トップを付けておくことも有効です。
例えばうちが使っているメトスの丸トップは絶妙なスリット状の排気口で鳥が侵入しにくいデザインになっています。
なかには鳥の侵入に困って、トップに金網を後付けされるユーザーもいらっしゃるとか…
※かわはらさんのブログ「春夏秋は冬を待つ季節」では鳥の侵入とトップの形状について何度も記事にされていますので引用させて頂きます。
https://kawahara-stove.com/blog/2015/29099
④外気導入をしている方は通気口(給気口)がゴミで塞がれていないかチェック
薪ストーブにとって燃焼させる空気の「入口」と「出口」がとても大切です。
- 入口:給気口による給気
- 出口:煙突による排気
最近は、「入口」に外気導入キットを施工されている方も多いようです。
チェックすべきは空気の流れを妨げるものがないかどうか。
意外にここ見落としがちかもしれませんが、外気導入が詰まっていないか確認しておきましょう。
万が一詰まっていたら、薪ストーブを不完全燃焼させることに繋がりかねません。
うちは正式な外気導入ではありませんが、ストーブ真横の壁にガラリを設置して、給気できるようにしてあります。
これがオフシーズンの間にクモの巣とか吸い込んだ枯葉とかで意外と汚れます。
燃焼の空気がスムーズに流入できるように掃除しています。
⑤ストーブ周りを整理整頓。可燃物に注意!
最後に、これは極めて当たり前のことですね。
ストーブ周りに可燃物を置かないようにしましょう。
上の写真左側を見て頂けると分かりますが、
薪ストーブ運用に欠かせない「マッチ・ライター類」「着火剤」「焚き付け材」「その他細かいもの」は全て蓋のついた缶に収納しています。
こういうバケツはストーブ周りに重宝しますね。
整理整頓をして安全な環境を作ってからシーズン初焚きを楽しみましょう。
薪ストーブはとても人生を豊かにしてくれる道具ですが、使い方によっては大変に危険を伴うものでもあります。
うちは小さい子供がいるので特に気を付けています。
■安心安全な薪ストーブライフを!
いかがだったでしょうか。
今回は自分の経験則も交えてシーズン直前のチェックポイントをご紹介いたしました。
おそらく薪ストーブユーザー1人1人に気をつけていらっしゃるポイントがあると思いますが、是非ともこのシーズン直前の時期に再度チェックを心掛けて頂き、今年も楽しく、安心安全な薪ストーブライフを送って頂けたらと思います。
さぁ、今年もいよいよ薪ストーブシーズンの始まりです。
楽しんでいきましょう!