10月も下旬に入り、かなり冷え込むようになってきましたね。
地域によっては既に薪ストーブを連続稼働させている方もいらっしゃると思います。
今回は「着火剤」についてのお話。
人によって使う人、使わない人と様々だと思いますが、その役割・基礎知識など書いていきたいと思います。
■着火剤は必要か?
薪ストーブの焚き付けに着火剤が絶対必要かと言うと、答えは「ノー」です。
そう、要は火が付けば良いのです。
なので着火剤を使わずに焚き付けている方も多くいらっしゃいます。
その際によく言われる方法としては、、、
- 薪割りの時に出た木屑などを使用する
- 松ぼっくりを使用する
- 牛乳パックを切って使用する
- 焚き付け材を更に小さくし、量も多く使う
- 焚き付け材や小割りの薪にバーナーで直接着火する
などが挙げられますね。
ということで薪ストーブの焚き付け時に着火剤を使用するかしないかは、
はっきり言ってその人の「好み」によります。
■着火剤を使用するメリット=煙の逆流リスクを軽減する
ということで着火剤は必ず使用しなければならない物ではありません。
では、なぜ自分があえて着火剤を使用しているかと言うと、
「焚き付け失敗のリスクが減る(=保険になる)」
これに尽きます。
言い換えれば「焚き付けに過度の神経を使わなくてもよく、楽である」とも言えます。
「焚き付け失敗のリスク」とは?
実は焚き付けのタイミングと言うのは薪ストーブにとって最も「煙の逆流」が起きやすい瞬間。
薪ストーブ本体と煙突が温まっていない状態では、煙突内部のドラフト(上昇気流)が十分に発生しておらず、煙を排煙する能力が極めて弱いのです。
つまり、万が一焚き付けに失敗(例えば炉内の薪に十分に火が回る前に消えてしまう等)してしまうと
「薪ストーブから室内に煙が逆流して、部屋全体が焦げ臭くなる」
一度部屋に煙を逆流させてしまうとなかなかその臭いはとれませんし、なにより慣れていないうちは「パニック」になるでしょう。
焚き付けの失敗はそんな事態にもつながりかねないのです。
(煙の探知機などが付いている部屋では作動してしまうかもしれません。)
この最悪の事態を避けるために必要なことは、
スタートダッシュの時点で「確実に」「より早く」「強力に」炉内に炎を回してあげることです。
※細かい話をすると、室内と屋外の気圧差が問題になるので換気扇のオンオフや少し窓を開けるなどなど上記以外にも言及すべき事柄は多いのですが、今回は割愛します。
※あと逆流については煙突の性能だったり、メンテナンスの状況だったり、ストーブ本体の特性なども非常に語るべき点が多いですが、今回は割愛します。
※あと実はこの点においての最強はバーナーだったりしますが今回は着火剤の話なので。笑
ということで着火剤のメリットとしては
- 焚き付け時の燃焼をサポート&ブーストすることによって焚き付け失敗のリスクを減らせる
- 着火剤という「製品」を使うことで日々の焚き付けのムラを減らすことができる
- 上記のメリットから精神的な安心感を得られる
ここが大きなところだと思います。
なので
「こだわりが無いなら使ってもいいんじゃないかな着火剤」
これが当ブログの基本的ご意見です。笑
■着火剤の基礎知識
折角なので着火剤の基本的なところを書いていきたいと思います。
着火剤と固形燃料の境界は非常に曖昧で、ほぼ同じ物と捉えて良いと思いますが、分類としては大きく3種類あります。
それぞれ具体的な製品を挙げて紹介していきたいと思います。
①メタノールをゲル化したもの
アウトドアで炭への着火目的としては非常にメジャーなタイプでホームセンターや100均でもよく見かけるタイプがこれ。
メタノール(メチルアルコール)が主原料のため非常に引火性が高く、火のついたマッチをかすらせるだけで燃え移ります。火力も強いです。
有名なのはニチネンのチャッカネン。
こういうのも良く見かけます。
メリットとしては、薪や焚き付けに直接塗って使用できること、火力も強く、臭いも少ないことが挙げられます。
デメリットは、引火性が高く危険であること。ストーブの付近に置いておくなんてもっての外です。
またチューブ状の製品については、チューブ内部に空気が入りそこに引火すると大変危険なため「着火後の継ぎ足し使用」が厳禁となっています。
②固形の炭化水素を錠剤にしたもの
これは着火剤というよりも固形燃料として販売されていることが多いジャンルです。
有名なところではヘキサミンを主原料とするエスビットでしょうか。引火点は400度で揮発もしないため比較的安定しています。
これはまさに固形燃料でして、当ブログでも以前、アウトドアでの炊飯に使用しました。
あとはパラフィンも炭化水素化合物ですのでここに分類されるでしょう。
薪ストーブユーザーの中にもで熱狂的なファンを持つ「Fireside ドラゴン着火剤」や水に濡れていても着火するという「LOGOS 防水ファイヤーライター」が有名です。
特にドラゴン着火剤については着火性、安全性、火力のバランスが良く人気があるのも頷けます。
ちなみにこのジャンルでは、かつてはスイスのロンザ社がメタアルデヒドを主原料とした「META」という製品を製造し、固形燃料として非常にメジャーだったという話ですが、残念ながらメタアルデヒドは人体に有害であることが分かり現在は製造されていないとのことです。
③木質の素材に油脂やパラフィンを含浸させたもの
薪ストーブの着火剤として国内では最も一般的なのがこのタイプと思われます。
木質原料のみで作られている物もありますが、多くは木質原料に引火性の高い成分を添加することで性能を向上させています。
また、どんな成分を添加するかによって火力や引火性等かなり製品の特性が変わってくるため、最も製品のバラエティが豊かなのもこのジャンルと言えるでしょう。
・例えば、木質原料に灯油を添加したものとしては「文化たきつけ」が有名です。
灯油のため非常に引火性が高く、火のついたマッチを一瞬触れさせただけでも火がつきます。着火性能が高く火力も強いため便利な一方、揮発性で非常に引火しやすいことから普段の取り扱いには細心の注意が必要です。(これもストーブの傍に置いておくなんてもってのほか)
あと、手に触れたときかなり手が臭くなりますのでそこを嫌う人も居るようです。(自分もそうです。)はっきり言って燃焼中も灯油臭いです。
・同じ油脂系ですが、灯油ではなく植物油脂を使用したものとしては「ファイヤーアップ」辺りがメジャー。
灯油と比べると揮発性も低いため、比較的安全に使用できる一方、マッチで火をつける時は少し時間が掛かります。あと手が臭くならない。燃焼中の臭いも比較的穏やかです。
これはこと薪ストーブ着火剤としては「使える」製品のため、実際に使っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
コストパフォーマンスも高く、自分も一時期愛用していました。
・パラフィンを使用したものとしてはこのような製品が良く売れているようです。
揮発しないため臭いも少なく、比較的安全性も高く使い勝手が良いです。
UNIFLAME 森の着火材
・化学成分を使用しないもの「ウェーバー 天然点火キューブ」
100%オガ屑で出来ていますが、意外なほど火力は強く着火性も優れています。そして手に嫌な臭いがつかず、煙も控え目。そして何より高いコストパフォーマンス。
ちょっとマイナーかもしれませんが、実はかなり良いのでおススメです。
自分がいまメインで使っている着火剤でもあります。
■おススメの着火剤は?
ということで次回「当ブログのおススメする薪ストーブの着火剤3選」に続きます。笑
よろしくお付き合いの程!!