前回、「ソロストーブってなんかいいよね」という話を書きました。
「その辺に落ちてる小枝や松ぼっくりを集めて、火を焚く楽しさ」
「小型でありながら二次燃焼機能があり、煙と灰が少なく、限りなく完全燃焼する」
聞いただけでもワクワクしますよね。
このジャンルの製品で最も有名なブランドが前回取り上げた「ソロストーブ」ですが、、、。
今回はそれに良く似た「IREGRO ウッドストーブ」なる製品をレビューしたいと思います。
■IREGROウッドストーブのスペック
IREGROというメーカーについてはあまり情報がないのですが、激安テントやシュラフ、エアマットなどを製造販売する中国メーカーのようです。
材質:ステンレス
重量:約380g
サイズ(重ねた状態):高さ約8cm 外径約13.5cm
サイズ(組み立てた状態):高さ約18cm 外形約13.5cm
生産国:中国
画像引用:Amazon.co.jp
■まずはアマゾンでクリック
購入時(H30.5)の値段は1980円でした。
激安ですねぇ。
最悪これなら失敗しても痛くないレベルです。(そういう考えの買い方は悪手なのは経験上、わかっちゃいるんですが…苦笑)
■早速届きました
プライム会員だからか?翌日サクッと届きました。
先ずは外観チェックです。
こんな感じで梱包されています。
専用の袋にスタッキングされた状態です。
中身を出すとこんな形で収納されています。
サイズは手掌サイズです。
コッヘルの定番品「スノーピーク トレック900」と比較するとこんな感じ。
上からみるとこんな感じですが、iRegro ウッドストーブの方が大きいです。
よって900mlのコッヘルには収納できません。
炉内はこんな感じ。
炉床にひし形の穴が無数に空いており、ここから一時燃焼空気が給気されるようになっています。
溶接精度はこんな感じです。
全体的な工作精度を見ると、正直、値段相応ではある。
■IREGRO ウッドストーブの特徴
① 組み立て式で小さく収納できる
パーツが分解でき、小さく収納(スタッキング)できるのが「IREGRO ウッドストーブ」の特徴の一つです。
パーツ点数はこんな感じ。(一番右の皿はアルコール燃料用の皿)
組み立てるとこんな感じです。
折りたたみ式のゴトクを畳むとこんな感じ。
②二重構造で二次燃焼を促す
この手のウッドストーブにとってアイディンティティというか、最も中核的な機能ですが、基本的に本家ソロストーブと同様の仕組みですので割愛します。
「二次燃焼とは?」という方は以下の記事で解説してありますのでそちらをご参照ください。
大きくはそんな所でしょうか。
■早速、使ってみよう
燃料はその辺に落ちてる木屑とかで良いはず。
自分の場合は薪割りの時に出た木片をこうやって網に入れ、大量に乾燥させていますので燃料には事欠きません。
ということで今回ご用意した燃料がこちら。
右側の皿に乗っているのが薪割りで出た木屑。
左側のが普段薪ストーブの焚き付けとして用意してある小割り薪(主に杉、ヒノキ、SPF等)です。
量としては一握りくらいの量です。
着火方法は、①下から着火②上から着火と二種類の方法が考えられますが、今回はオーソドックスに下から着火でいきたいと思います。
着火剤は薪ストーブ用にたくさんストックしてありますが今回は使いません。
いざ!!!
あ、ちなみにIREGROウッドストーブは本体の底が抜けているため、灰がそのまま下に落ちる仕様となっています。
今回はその辺にあったボロい鉄皿を受け皿にしました。
炉床の給気口を極端に塞ぐことのないよう、軽く木屑を入れます。
そしたらマッチで点火。
分かっていたことですが、この段階はやはり煙が出ます。
炎が上がってきたら、もうちょっと木屑を足します。
一旦燃え始めると勢いが付くのは非常に早いですね。
順調に炎が大きくなっていきます。
あ、一番上のパーツ(ゴトク部)をつけ忘れていたことにここで気付きます。汗
あわてて装着。
予想以上の火力の強さ、炎の勢いです。
正直、ちょっと怖い。
というのも、ちょうどこの時かなり風が強かったのですね。
なので噴き出た炎が煽られること煽られること…
一応動画を撮ってみました。
良い子の皆は風の強いときは使っちゃダメですよ。
しかしながらこの炎。
折角なので、お湯を沸かすことにしました。
コッヘル(スノーピークのトレック900)に水を600ml注ぎ、ゴトクの上に載せます。
折り畳み式のゴトクは径も大きく、安定感があります。
600mlの水が入ったコッヘルでしたが、強い風にもビクともしませんでした。
少し風がおさまり、炎が安定してきました。
ゴトクの下あたり、二次空気の給気口から炎が噴き出る(つまり二次燃焼している)様子が分かります。
ということでお湯が沸きました。
今回は風が強かったこと&ちょっと炎の勢いを確かめながら薪を追加していたこともあってか、沸騰まで20分ほど掛かりました。
見てわかる通り、煤で真っ黒です。
折角なのでコーヒーを。
うん、美味いんじゃないかな。
天気もいいし、炎を見ながらのコーヒーは格別ですね。
それにしてもコッヘルは煤で真っ黒。想像以上に煤が出ましたね。
後で中性洗剤とスポンジで磨いたらほぼ取れてきれいになりましたが、これほど煤汚れが凄いようではそもそもアルミ製は不適格かも。熱伝導は良いんですけどね。
後のお手入れを考慮するなら断然ステンレス製のコッヘルやケトルを推奨いたします。
■お掃除
灰がそのまま床に落ちるのですが、最終的にこんな感じ。
本体の下はこんな感じ。
ほぼ真っ白の灰ですね。
量もこの位なら合格点でしょう。畑にでも撒いておきます。
本体はステンレスなので分解して水でザブザブ洗えばいいと思います。
特にゴトク部の煤汚れが凄いですね。
このように汚れやすく、細かくブラシを入れたいパーツですが折り畳み式のゴトクが邪魔でなかなか思うように磨くことができません。
最終的に「どうせ煤汚れは宿命だから」と適当に済ますことにしました。
最後は乾かして終わり。
■煙は?
炎が強くなり、二次燃焼がきっちり効いてくると目視できる白煙はほとんど見られなくなりました。
やはりこの点は裸火の焚き火と比べ大きなアドバンテージがあります。
ただ、当然ですが焚き付け時と薪を追加したタイミングでは白煙が出ます。
結構出ます。
薪さえ乾燥していて、かつ一度に入れる量が適切な量(入れすぎると給気口を塞ぎ炉内が酸欠=不完全燃焼になる)であれば、炎の立ち上がりも早いため、あくまでごく一部のタイミングで煙が多いと理解して頂ければと思います。
とにかく完全に無煙を保証するアイテムではないことは理解しておく必要があります。
ただ、なるべく煙を少なく使うテクニックはあります。
煙が出ない=完全燃焼に近いということですので、完全燃焼に近づけるためにはとにかく一次燃焼&二次燃焼がしっかり行われている必要があります。
- ①炉内下部の給気口が完全に塞がるほど大量の薪を入れない
- ②しっかり乾燥した薪、しかもなるべく小さく細かい物を使うこと
- ③炉内の温度が下がらないように適切なタイミングで薪を適量ずつ足していくこと
…が大切な心得になろうかと思いました。
あとはその日の天候、風の強さ、使う薪の乾燥度、樹種(油分の多い木は煙が出やすい)、部位(皮は煙が出やすい)など変動要因が多いのでその都度の状況に合わせて臨機応変に対応できる使い手の慣れ、習熟が必要かと。
■IREGRO ウッドストーブの弱点?
現時点で感じた弱点について。
① 組み立てるのが面倒である。
これは「小さく収納できる」というメリットの裏返しでもあるのですが、使うときに組み立てないといけないので少し面倒ではあります。
画像:Amazon.co.jp
これ覚えるの?という感じで。
もちろん慣れりゃすぐなんでしょうけど。
本家ソロストーブは小さく収納できない代わりにポンっと置いたらすぐ使えますからねぇ。
② 工作精度、製品のクオリティはイマイチかもしれない
一番最初に気付いた点なのですが、写真のココ。
ゴトクの取り付け部分に青錆?グリスの劣化?が見受けられます。
そもそも炎が直接当たり、高温に晒される部分ですのでちょっと作りが華奢かな?と
心配になります。
まぁ耐久性については使っていかないと分からない所ではありますが。
③ 灰が地面に直接落ちる。
本家本元のソロストーブは底が抜けていませんので、灰が地面に落ちることはないのですがIREGROウッドストーブは底が抜けていますので灰が地面に直接落ちます。
したがって直火厳禁のキャンプ場などでは焚き火台の上で使用したり、灰を受けるための皿が必須です。
自宅の庭で使う際にも、地面の芝生の保護や可燃物への注意が必要です。
④ 一次給気口がちょっと残念
個人的にはもうちょっと工夫が欲しいと思いました。
というのも、焚き付け時に間違ってここを塞ぐほど多くの薪を入れてしまった場合、下からのエアーの吹き上げが少なくなり、ドラフト(煙突効果による上昇気流)も十分に得られず、焚き付け初期の加速度的な燃焼性能が全く得られない恐れがあるからです。
また、今回の使用においても、後半に熾火が溜まってくることで給気口が塞がれ、炉内がエアー不足になり、一次燃焼と二次燃焼のバランスが崩れる印象を受けました。
この点において本家のソロストーブではどのような構造になっているかと言うと、ニクロム線ワイヤーが網のように配置され、一次空気が入りやすく、かつ灰が落ちやすい構造になっています。
図:ソロストーブ断面図
写真出展:ソロストーブジャパンオフィシャルサイト
さすが本家よく考えられています。
【個人的考え】IREGROウッドストーブにおいてもしこの点を改造等で改善を施すならば、①下部のサイドにも給気穴を開ける、②熾火が面となって溜まらないように凹凸など変化のある炉床形状にする、③網状のパーツを炉床の1cm程上部に配置する、、、などの改善点が考えられますが、、、、。
まぁそれをするなら最初から自分で設計して作りますね。笑
(ついでに二層部分の内部に斜めの仕切りを入れて二次燃焼空気のプレヒート経路を伸ばしたり、上部で内側へ炎が折り返すように5mm程度のバッフル用のパーツをつけたりしたいですね。誰かステンレス加工の出来る知り合いがいたらですが。)
■まとめ
ということで、今回「IREGROウッドストーブ」を購入、レビューしてみました。
最後にざっくりまとめます。
- この手のウッドストーブの特徴である二次燃焼機能がちゃんと付いており、ライトユーザーにも入手しやすい価格設定は評価できる。
- 小さく収納できるため、持ち運びに便利。(ただ一方で組み立てないといけない煩わしさもある)
- 本体は小さいが、炎はかなり豪快。二次燃焼っぽい炎もちゃんと楽しめ、煙も少ない。
- 工作精度や燃焼についてはもう一工夫欲しいが、まぁ値段相応といったところ。
- 灰が直接地面に落ちるので注意が必要。
こんな所でしょうか。
最後に、「買いか?否か?」ですが…
答え:完全ではないものの、IREGROウッドストーブは十分実用的。この価格でこれならアリだと思います。
特に①とにかく小さく収納したい人、②大きなゴトクを必要とする人にはいいと思いまます。③先ずは低予算で雰囲気を味わいたい人、にも良いのでは。
ただ、資金に余裕があるなら本家ソロストーブでしょう。
前回の記事リリース後に8マンさん(id:gemini-yahata)と再度やりとりをして本家ソロストーブについてご教授頂いたのですが、やはり本家本元ソロストーブの性能は凄いようです。
まぁその辺については、いずれ自分もソロストーブを入手し、しっかりと比較していきたいと思います。
(ということで今回も5000文字のくどさ。2件に別けて更新すればいいのにねぇ、相変わらずブログセンスが無いねぇという声も聞こえてきそうですが!自己満足で!涙)