「みんな大好き焼き芋」
薪ストーブ料理の中でも特に相性の良い料理です。
けっこう簡単に、美味しく焼ける。
ただ、そこは当ブログ。
折角だから、ここは大人気ない位こだわっていきたい。
ということで、今回のテーマ「焼き芋にこだわる」で何回か更新していきたいと思います。
■基礎知識!なんで焼き芋は甘いのか。
何事にも最低限の知識は必要です。
先ず「焼き芋が甘い理由」を解説しておきましょう。
ご存知のようにさつまいもの主成分は主に「でんぷん」です。
で、でんぷんの塊であるさつまいもを
ある一定の温度で加熱し続けると、自身のもつ酵素が働き、「でんぷんが糖化」する
わけですね。
(厳密にはでんぷん→糊化→糖化のプロセスです)
だから焼き芋は甘いのです。
(厳密には常温でもこの酵素は働いており少しずつ糖化は進んでいます。なので、新芋が出回る秋~冬よりも貯蔵を経た春~夏の芋のほうが甘いですね。天ぷらとかにすると良くわかりますよ。)
つまり、焼き芋の極意はこの「糖化」をしっかり促してあげることにあると言っても過言ではないでしょう。
では「糖化」を促す条件は、何でしょうか。
答えは「温度」「時間」です。
・具体的には60~70度がベスト。
80度を超えると酵素の活性が急激に落ち、糖化しません。
・そして長時間加熱。
また、この反応はゆっくりと進むため、30分とか1時間では全く足りません。
蜜が出てるな~と感じるために最低でも2時間は必要です。
長ければ長いほどでんぷん→麦芽糖へ変化するため、最終的にはドロドロな蜜だらけの芋になります。
以上が「焼き芋が甘い」理由です。
■薪ストーブで焼き芋 方法は様々
薪ストーブでは色々な方法で芋が焼けます。
折角ですから、過去の例をご紹介しましょう。
例えば、
① 天板の上で焼く
そのまんま、天板の上にさつまいもを転がして焼きます
こんな感じで。
はたまたトーストを焼く傍らで。
時々転がしてあげたりなんかして…。
ちなみに炉内はこんな感じでガンガン焚きですよ。
これのメリットは、「(相応の火力があれば炉内よりも)早く焼けること」「甘すぎない」「ホクホク感」でしょうか。
さつまいもは「細長い」ものが適しますね。
というか接地面の熱さが強く、温度ムラが出ますのでこの方法だと太い芋はうまく焼けません。
甘すぎない、ホクホク感が好きな方はこれでもいいと思います。
むしろさつまいも好きではないうちの娘はこれなら食べてくれました。
②ホイルに包んで炉内に放置
おそらく最も一般的な方法にして最強の焼き方。
表面を濡らしてからホイルに包んで炉内に放置です。
この方法は時間をかけてじっくり焼くのでどんな巨大なさつまいもでも大丈夫。
心配な方は濡れた新聞紙やキッチンペーパーで巻いてからホイルが安心ですが、正直そこまで気にしなくてもOKです。
タイミングは炉内の熾き火がかなり弱くなってきて、このまま自然鎮火していくかな?というタイミング。
うちの機種はドブレ640CBですが、重量級の鋳鉄が蓄えた熱量がそう簡単に冷めることはなく、長時間いい感じの温度帯でじりじり芋を焼いてくれます。
本体が冷めるまでゆうに数時間は掛かりますので、このまま放置。
炉内と芋が完全に冷める時間を上限に、長ければ長いほど柔らかく、甘くなります。
焼き上がり。
ホイルを外すとこんな感じで表面が濡れています。
蜜です。
しっとり。
で、2時間放置でこんな感じの断面。
どうです、かなり糖化してるでしょ。
ただ、これでも十分甘くて柔らかいのですが、強いて言えば中心が少し糖化しきっていません。
さらに1時間くらい放置すると、でんぷんがムラなく糖化しどこを食べても「柔らかく、甘い」状態。
ここまで来ると完全にスイートポテト状態。
で、もっと凄いやついきますよ。
さらに2時間ほど放置すると、こうなります。
もうトロトロ!!甘さも半端じゃありません。
もう蜜だらけ。
持った手はベットベト。
なので食べるときはスプーンですくって食べる感じですね。
③炉内に入れた鍋の中で焼く
次号の内容なので今回は割愛します。
④灰受室で焼く
これはうちのドブレ640のような薪ストーブの燃焼室と灰受室が分離した機種で可能です。
メリットは、炉床を隔てて程よい熱量を当てることができること。
デメリットは(ドブレ640の場合、灰受室の背が低いので)かなり小サイズの芋しか焼けないことです。写真あったはずですが、面倒なのでこれも今回は割愛します。
■甘い=至上の焼き芋でいいのか??
ということで、一番最初に「甘くなる」仕組みを説明しておいてアレなのですが。
「甘い=至上」なのか!?
今回はアンチテーゼとしてここに注目します。
というのも、ホイルで包んで「炉内に放置焼き」は
簡単に、限りなく糖化を促せますからかなり甘くなります。
まぁ、確かに美味いですよ。
「コレ本当にさつまいもだけの甘さ!?」ってなります。
お客さんに出しても、お土産に差し上げても喜ばれます。
でも、これを食べなれてるから言うのですが、、、、
本当にこれが最上なのか??
貴方が昔、焼き芋おいしいねと頬張った焼き芋はこんな感じでした?
否。
何かが足りないのです。
それを乱暴に言うと「香ばしさ」という事になっちゃうのですが、、、、
ホイルで包んで焼くのは確かに上手に焼けますが、、、
蒸し焼きです。
蒸し焼き芋です。
求めるのはあの日焚き火で焼いたような、、、、「焼いた感のある焼き芋」。
皮は少し焦げた部分があり香ばしく、
中は熱々で、十分に糖化しながらもホクホク感がある。
これを兼ね備えた最高の焼き芋を食べたい!!
ということで究極の焼き芋目指して模索が続きます。
次回「薪ストーブで石やき芋に挑戦編」