もうちょっと着地点が分からなくなってきていますが、
最高の焼き芋を求めて、ぐるぐる考えている記録的内容になってきました。笑
甘くするために糖化。さらに適度に水分を抜いていく。
この最高の焼き芋のお手本として「石焼き芋」から習う。
→ ダッチオーブン+石で焼いてみよう、という所まで話が進んでいます。
で、上記を読んで頂いた方はご承知と思いますが、前回見事に失敗しましたので今回は焼き時間も含めてやり直し…
と思いきや、
あえて「石焼き芋を(形式上)再現する」というところから敢えて離れます。
冷静になって考えた結果、形式上再現するよりも、実質的に効果のある要素をどう実現するか、ということが大事と考えました。
■おさらい
「上手い焼き芋を作るには」「薪ストーブ」という要素も含め、改めていろいろ考え直してみます。
・石焼き芋のメリット
遠赤外線の放射能力の高い石を熱することにより、他の調理法では得られないような
遠赤外線調理を可能に。それにより表面部250度、中心部65~75度の長時間加熱を実現。
芋の水分を適度に抜きながら、中身はしっかり糖化(糊化)した焼き芋になる。
・ダッチオーブン+石で焼くことについて
石を加熱することで強力な遠赤外線効果を得ることができるため、理には適っている。
石は熱膨張による破裂や残留水分による水蒸気爆発のリスクもあるため堅牢なダッチオーブンに入れることでより安全に調理できる、という点もメリットか。ただダッチオーブン(鋳鉄)自体が遠赤外線効果を持つため、石いらないんじゃ?というそもそもな疑念も。
・薪ストーブで行うことについて
そもそも薪ストーブ炉内は薪を燃やしており、高い遠赤外線放射能力を持っている。
さらに最近の薪ストーブは炉内にバーミキュライトを配置しており、さらに遠赤外線放射能力を高めている。
さらに鋳鉄製ストーブであれば保温力も高く、「長時間加熱する」という点にはメリットがあるか。
■最高の焼き芋に至る2大要素
前提として「石焼き芋=最高の焼き芋を焼く方法の一つ」と仮定し、
その要素を大きく「遠赤外線効果」による「中低温での長時間加熱」としたいと思います。
となると、石焼きは方法であって目的ではない。
・遠赤外線効果が高い素材を選べば、別に石焼きにこだわる必要は無い
・保温性が高く長時間加熱を考慮する
このような考えに至ります。
更に違う用語に置き換えると、
遠赤外線の吸収率の「高い」=遠赤外線を多く放射する
熱伝導率の「低い」=蓄熱し冷めにくい
このような素材・環境をどう実現するかという話になります。
となると現時点で考えられる方法は二つ。
①薪ストーブの炉内で焼く
前述の通り、薪ストーブの炉内は遠赤外線が放射されています。鋳鉄の塊であり保温性も高いため、上記の条件を満たすと思われます。
ただし大事なことはアルミホイルで包まないこと。
(アルミホイルで包むと水分保持、過加熱防止になり糖化促進にはメリットがあるが、遠赤外線を反射するためその効果は得られない。)
そして炉内は意外に火力調整がシビアなこと、炉内加熱は非常に水分が飛びやすいため、そこについてはテクニックが必要なことも添えておきます。
②土鍋もしくは耐熱セラミック鍋で焼く
別に石を使わなくてもそれ自体が似た素材の鍋を使えば理屈の上では同じはずです。
波長に対する放射率(=吸収率)がおよそ50%以上吸収する物質が遠赤外線加熱に向いているとされていますが、波長5μm以上の吸収率においてこれら「粘土・石系」の素材は軒並み90%を超え、高い遠赤外線能力があるとされています。
また、石系の素材は熱伝導率が「低い」ため「熱しにくく、冷めにくい」という特性を持っています。
となると、身近な物は「土鍋やセラミック鍋」でしょう。これの中で焼くことで上記の条件を満たすことができると考えました。
■検証① 薪ストーブ炉内で直火焼き
実はコレ、随分前に検証しています。
詳しくは以下の記事をどうぞ。
当時の自分の講評として、
「すごく美味い。ほどよく水分を抜きながら焼けたので、甘みが凝縮されています。食感はほっこり感も残しつつ、程よくねっとり。あとはやっぱり香り。皮がパリッと焼けた香ばしさがあります。」
こう書いてありまして、やはり一定の効果はあるものと思います。
ただ、一定の効果を感じる一方で今思うとやっぱり糖化はまだまだ不十分だとも思います。
というのはまだホクホク感が強く蜜によるジューシーさがもうちょっと欲しい。さらに言えばその蜜が焦げることで生まれる独特の芳香。蜜が皮目でキャラメリゼするところまで行っていない。
なにが不足していたかというとやはり「火力調節の難しさ」「炉内は水分が抜けやすい」という点が影響していたように思います。
糊化・糖化するまえに芋の水分が抜けてしまうのですね。
多分理に適った方法だとは思うのでこれだけで理想の焼き芋を焼かれる方もいるんじゃないかと思いますが、どれだけ熾き火を溜めて、どのタイミングで入れて、どれくらい焼くかという点において更に若干の工夫やテクニックを要する感じです。
■検証② 土鍋で焼く
実はこれが今回の核心です。
(本題に入るまで前振りが長すぎ。ここまで2千文字以上、、、、、笑)
先ほども書いたとおり、石焼きの石を使わなくても土鍋なら遠赤外線能力としてほぼ同格だろうと。
欲を言えば耐熱セラミック鍋が最高のような気もしますが、持っていません。
一方で、うちには余らせている土鍋が一つ。
けっこう大きい。5号だったかな。
① 芋を並べる
今回使ったのは普通の「紅あずま」です。
今回は3本入れましたが、このサイズなら重ねて5本くらいはいけそうです。
② 天板の上で加熱
炉内はガンガンに焚きまくっています。
そう。今回「土鍋で焼く」はあえて炉内ではなく、天板の上で行います。
その理由は「特に炉内のメリットがないから」です。
土鍋に入れている時点で豊富な遠赤外線に晒されている上、土鍋自体に蓄熱効果がありますから特に炉内で焼く必要性がありません。そして今回目指す焼き芋は高火力を必要としていないこともあります。
むしろ炉内の場合、
・熾き火になるまで待たないといけない
・火力に注意しなければいけない
・重量のある土鍋の出し入れはハンドリングに難がある
と、むしろ「デメリット」の方が多いと考えました。
③ そのまま2時間加熱
様子を見ながら結局2時間ほど加熱しました。
焼いている時はほぼ焚きっぱなしでしたので天板温度はこんな感じ。
250℃付近で推移し瞬間的に350度まで上がりました。
※ 裏技としてインナートッププレートを外しています。この件についてはまたそのうち記事にする予定。
さすが温まりにくい土鍋でしたが、次第に熱が回り開始20分で芋がホカホカしてきました。
表面が湿ってきてこのまま糊化してくれることを祈ります。
ちなみにこの時の表面温度は華氏182度=摂氏82℃くらい。
蓋の温度が華氏160度=71℃くらい。
蓋は何度か計測しましたがマックス90℃くらいまで上がっていたようです。
開始後、1時間半経過。
こんな感じ。
芋の表面は水分が無くなり皮が張ってます。
なにより蓋をあけた時に「焼き芋の香り」がブワッと広がる。
期待が高まります。
2時間経過。
どこで区切るか、という悩みもありますが今回はここで完成とします。
一番上の芋を少し持ち上げたら、蜜で糸を引きました。
③ 完成
ということで完成!!
うわ~~~~
これ、糖化した蜜が飴化して糸を引いてるんですが分かります?
これを求めていました。
割るときも適度に「パリッ」とした手ごたえがあります。
これを求めていました。
ホックホクの中身です。
十分に糖化し、かなり軟らかいです。
蜜になった部分が皮目でキャラメリゼし、独特の香ばしい風味を放っています!
これですよ!!!!!
もちろんこれだけ糖化していたら甘味も文句なしです。
現時点での
最高の焼き芋、完成か!!!!
ちなみにこの時は一本だけ食べ、残りは友達の家に遊び行くという妻にお土産として持たせ、このとき「保温による更なる糖化をすすめる」ためにアルミホイルで包んでみました。
遠赤外線を反射すると敬遠したホイルですがこのような用途で使うならOKです。
で、送られてきた写真がこれ。
焼きたての状態から2時間ほど保温加熱されてます。
いい蜜出てますねぇ!!
もちろん、土鍋自体に高い保温性能があるので、鍋を天板からおろしてそのまま放置して余熱調理するのもグッドだと思います。じっくり糖化が進みさらに甘くなるでしょうねぇ。
やばい、考えただけで涎が…。
■まとめ
ということで、今回は
「遠赤外線効果を最大限活用」し、かつハンドリングよく簡便さを検討した結果…
最高の焼き芋メソッド=「天板で土鍋で焼く」
に(とりあえず)行き着きました。
その結果、現時点で考えられる最高の焼き芋にかなり近づけたのではないかと思います。
というかこの焼き芋で文句あるやつが居たら出て来い!笑
まぁ、と言っても焼き芋を焼く方法って本当にたくさんありますし、
焼く人の上手下手で出来上がりもかなり違うのでもしかしたらもっと良い方法があるのかもしれませんけどね…
もしかしたら、やはりこういう専用の焼き芋鍋が最高なのかもしれませんし。
上のはIH使えませんが、IHならこういう対応製品も。
まぁ、余裕あったらちょっと買ってみたい気もしています。
あ、最後に土鍋のデメリットも書いておかないといけませんね。
デメリットは、空焚きすることになるので最悪ヒビが入って割れる心配があること。
焼き芋の場合は、そこまでの高熱にはしないのでよほど火加減を間違えなければ問題ないと思いますが心配な方は「もう捨ててもいい」鍋を使用してください。
うちは新居がIHのため、ガスコンロ時代に使ってい土鍋を余らせていたのですね。 そういった切り替えで使わなくなった土鍋があれば引っ張り出して来て再利用するのもよいかと思います。
ちょっと最後無理やりまとめますが、、、、、
「最高の焼き芋」
=しっかり糖化し、甘いこと。更に焼いた感のある香ばしさも備えていること。
これを実現する方法は恐らくいくつかの方法があると思われますが、今回は「遠赤外線効果」をいかに活用して焼くかという点においてダッチオーブン&石や土鍋など模索をして参りました。
その結果、土鍋使用で焼くのはなかなかイイんじゃないかな?簡単だし。
という結論にたどり着き、一応満足できる芋が焼けました。
なんか薪ストーブの必要性とかあまり追求せず、大事な所がほったらかしな気もしますが、あえて言うならば「天板で焼く=なかなか丁度良い温度帯であろうこと」「土鍋の保温性にプラスアルファして本体の保温性で長時間の加熱ができること」がメリットでしょうか。
ぜひ、焼き芋大好きな皆様、薪ストーブをお使いの皆様。
稚拙な内容ではありますが、以上をご参考頂き、各自ご研鑽の上、この冬最高の焼き芋をお楽しみ頂ければと思います。
(ということで焼き芋編これにて一旦締めたいと思います。長文にお付き合い頂きありがとうございました。)