前回、熱伝導率が最高な鍋=銅鍋というお話でした。
この銅鍋というやつは、今でこそ一般家庭では見掛けなくなりましたが、現在もプロ御用達の道具として存在感を放っているわけです。
いろいろなページで紹介されています。
調理器具が大好きな人種であれば、
これは欲しくなりますよね。
※ ちなみにかつて、銅から由来する緑青(りょくしょう)が有毒だということで敬遠された時期があるようですが現在その有毒性は否定されているとのことです。
安全な銅|銅について知る|一般社団法人日本銅センター|JCDA
■銅鍋を探して~
ということで近隣の一番大きなホームセンターへ。
誰が買うんだと言う大きな中華なべや寸胴も陳列されているような品揃えのいい店舗なのですが…
無い。売ってない。
あるのはアルミとステンレスがほとんど。後は鉄。
本当に、銅鍋って一般家庭からは姿を消した存在なのだなぁ。と実感。
店舗に無い?
よろしい、ならば戦争だネット通販だ。
検索するとおぉ、あるね。そりゃあるよね。
しかしちょっと高いな。
例えばこの商品、いくらだと思いますか?値段見るとびっくりしますよ。
ガヤさん流石に鍋にここまで出せない。(実際出せるとしたら1万円が限度かな…)
まぁこれはちょっと極端なのかもしれませんが、でもちょっとした片手鍋でも5000円以上はする。職人の打ち出した鍋とか、ちょっとデザインが凝った商品なら数万円の物もザラ。
なんでも銅の相場が大幅に上昇している為、どうしても高くせざるをえないとのこと。
10円硬貨の素材なのでてっきり程々のお値段なのかと思っていました。笑
まぁ昔は安かったのかもしれません。
とにかく今は高級品ということが分かりました。
あぁ、銅鍋も手に入らず、残念ながらこの企画も前編のみでお蔵入りか、
これは突然の「娘ちゃんシリーズ」で上手くお茶を濁すしかないかな…
などと考えて帰宅すると、
「銅鍋?たぶんまだ物置にあるよ」と母。
なんですとーー!(床ゴロゴロゴロ)
いつもは「物を捨てない母」として、物に溢れる実家(といってもお隣)を正直どうかと思っていたが今回ばかりは感謝した。
ということで、各種スペック不明ですがどうやら銅鍋?を無料でゲットしました。
内側はスズのメッキかな?
外側も熱で多少変色したり、酸やアルカリでの腐食??正直あまりきれいな状態ではないがとりあえず銅鍋はゲットしたのであった。
■薪ストーブの天板に載せてみよう(実験)
やはり先ずはお湯を沸かしてみよう。
そしてせっかくなのでいつも使っているステンレス鍋と比較。
- 汲み置きした室温の水道水を1リットル入れる
- 蓋はしない
- 天板の左右対称に置く
- 同じタイミングで天板に載せる
厳密には、
- 鍋の直径=つまり熱源との設置面積が違うし
- そもそも左右対称に置いたとしてもドブレ640の天板温度は元々左右差があるし、
- 温度計もいい奴じゃないので、
全く持って実験の体をなさない条件なのだが…
いーんです。
そういうデータで語るブログではないので。
体感的な差をある程度補完してくれる材料になってくれたらそれでOKです。
ということで実験もどきスタートです。
開始水温:15度
天板温度はまだまだ上がり途中。
開始1分:ステンレス15.7℃ 銅17.3℃ 早くも差が出てきました。
あーもう、こんなペースで写真のっけたら見難くて仕方ないわけですよ。
画的にもつまらないし。
なので結果だけ掲載しますね。
ステンレス鍋 | 銅鍋 | |
0分 | 15 | 15 |
1分 | 15.7 | 17.3 |
10分 | 30.5 | 45.2 |
20分 | 50.6 | 63.4 |
30分 | 67.1 | 78.1 |
50分 | 73.1 | 77.4 |
80分 | 70.8 | 67.8 |
120分 | 65.5 | 58.9 |
150分 | 63.2 | 50.4 |
180分 | 58.5 | 40.3 |
単位:℃
銅鍋が開始30分で今回のピークを迎えていることが分かります。
ステンレス鍋は結局そこには追いつきませんが、20分遅れて70℃を越してきます。
字で説明は面倒なのでグラフにしましょう。
グラフにすると「ピークを迎えるタイミングが違う」ことと「ピーク後の温度低下のカーブ」が分かりやすくなりますね。
(よく見たら疎らな時間経過が等間隔に示されたグラフであまりよろしくありませんでしたね、すいません)
今回、焚き方が甘かったのか、沸騰までいかなかったのが残念ではありますが…。
【結果のまとめ】
- 焚き方が不十分だったためか、両者のピーク水温は約80度=つまりここが今回の天板温度で沸かせられる上限
- 銅鍋は30分でピークに到達、その後天板の温度低下に伴う形で水温低下を示した
- ステンレス鍋は50分でピークに到達、その後天板の温度低下に伴って水温低下を示したものの銅鍋と比べると緩やかな低下を示した
【考察】
- 銅鍋の方が水温の上昇にかける時間が短く、ステンレスと比し熱伝導率の高さを示す結果となった
- ただ、温度の最高値を迎えてからはステンレス鍋の方が温度低下が緩やかで本体の保温性の差と考えられた
- 以上から「銅鍋は熱しやすく冷めやすい」「ステンレス鍋は熱しにくく冷めにくい」傾向を示したと考えられた
- 時間経過&水温経過だけでなく天板温度の経過もデータに入れることで更に新たな知見が得られる可能性がある
ざっくりこんなところでしょうか。
本当に興味のない方にはどうでもいい記事で大変申し訳ありません。
いろいろ書きましたが、
まぁ、こまけぇことはいいんだよ!! (うわー台無しだ)
とにかく、銅鍋の方が温度上昇は早かったです。
さすが銅鍋、ビバ銅鍋です。
温かく、冷めやすい銅鍋。
特に薪ストーブの機種によっては、天板温度が上がりにくい物もありますのでその際はいっそ「鍋の素材」を変えてみることもオススメです。
もし天板温度がガンガンに上がる機種をお使いの皆さまにとっても限りある資源、貴重な熱源を最大限・効率的に活用するという点で「熱伝導率の良い鍋」を使ってみる価値は十二分にあるかと思います。
とりあえずガヤさん、残り何ヶ月の今シーズンではありますが、天板は「脱やかん おいでませ銅鍋」でお湯を沸かしたいと思います。
↑ ちなみにこれけっこう湯気出たんですけど、全く写真には写りませんでしたね…
ということで、
なんと料理を作らずこのテーマひとまず終了です。本当は手入れの方法とか、使い方のポイントとかもお伝えすべきで、もしかしたらそれを期待されていたかもしれないんですが…なんせ今回は熱伝導のお話でして。
ともかく皆さまの参考になればと思います。それでは。
パール金属さんのラインナップは価格も良心的でいいですね。
(いやー、それにしても銅鍋かっこいいな。でもよく考えたらガヤさんちってIHなんですよね…。IHって本当に不完全な機械でちょっと後悔していたりします。そんなこんなで次回もよろしくお願いします。チャオ)