レアな薪ストーブ「モキ」をレビューする機会を与えられ、
なんとかかんとか書いてきましたが、ようやくこの4回目にして一応完結です。
●経緯はこちらから。
続いてこんな記事も書きました。
② モキストーブMD80Ⅱのレビュー ※6000字 長文注意
③ MD80ⅡにiGブースター装着例レビュー ※4000字 長文注意
気になる方は以上の記事もお読み頂ければと思います。
(長文なので万人受けではないです。笑)
今回はモキストーブを使った薪ストーブ料理の実例を中心に書いていきたいと思います。
モキストーブで作る薪ストーブ料理はとてもスピーディーだった
モキストーブMD80Ⅱ(+iGブースター)のレビュー時、ちょうどお昼だったのですが、なんとストーブを活用してお昼を用意して頂きました!
実際に目の当たりにして実感したのですが、天板の調理性が素晴らしいです。
前回までのレビューをお読み頂いた方なら分かると思いますが、
着火から10分で天板200度越え
あっという間に300度、400度まで上がるわけです。
モキストーブ含む鋼板製のストーブは総じて立ち上がりが早い傾向がありますが、大量のエアーでガンガン焚いていくモキストーブは更に温まるのが早い。
着火から10分とか15分でもう鍋が置ける。
天板の上で、餃子を焼き、キャベツの蒸し野菜を作り、キノコを焼く。
そして炉内は耐熱セラミック鍋(トーセラム)の中で鶏モモ肉が焼かれています。
そして見ての通り、この広い天板。大きな鍋が3つは置けます。
結局、鍋を置いてから2,30分ほどでこれだけの料理ができました。
鶏肉もセラミック鍋の遠赤外線効果で驚くほどジューシー!
鍋に入れて、炉内に入れておいただけ。
でも凄く美味い!!
刻んで鍋に入れただけのキャベツも無水調理で美味しい蒸し野菜に。
甘い!美味い!
事前に土鍋で炊いておいてくれたご飯。
最高ですね!!
ご馳走様でした。
そして天板で沸かしたお湯で淹れたこだわり鮮度のコーヒー。
すっきり、コクあり。変な酸味とか一切なし。美味い!
これはノーマル機の燃焼時の画像ですが、天板の上にさつまいもを転がしておくとほっこり美味しい焼き芋に。
香ばしくて、穏やかな芋の甘み。美味い!
いやぁ、薪ストーブ料理って素晴らしいですね!!
そして、悔しいですがこれはうちのドブレ640では真似できません。
(天板が二層構造になっており、構造上そこまで高温にならない。そして190キロの鉄の塊を温めるのには時間がかかる。でも炉内調理なら負けないよ)
(天板がここまで熱くなる、というのは実はモキストーブの専売特許ではなく、天板がシングル構造の薪ストーブであれば鋼板製・鋳鉄製問わず十分に熱くなるのですが)
ともかくこの天板温度は料理の幅を広げ、実用性があります。
また、本体の温度立ち上がりが速く、焚き付けから料理開始までの時間が極めて短いのも実用的です。
ちなみに鋳鉄製ストーブ、鋼板製ストーブの差については以前こんな記事を書きましたので興味のある方はご参照ください。
(モキストーブは鋼板製ストーブとなります。モキストーブの性能はモキプレートだったり、本体形状だったり、給気量だったり、色々な要素が絡むので当然素材だけでは説明できないのですが、一方で外せない要因でもあります。それほど薪ストーブにとってどんな素材で作られているかというのは大きなポイントだと思います。)
モキストーブは生活に活かせるストーブだった
前回までのレビューで何度も繰り返していますが、モキストーブを目の当たりにして「ここは良い所だな」と思った点が、速暖性と本体の熱効率(暖房効率)。
上述の通り「モキストーブだから」というより鋼板性ストーブだからという要素もあるのですが、とにかく立ち上がりが速く速暖性に優れるので、忙しい平日の朝でも使える。
そして薪が燃え尽きる時間は短いが、熱効率が高いので部屋を温めるまでに使う薪は結果的に少ない。(使う薪が少ない=長時間燃やせるという意味ではないことに注意)
上記の通り、天板料理も焚き付けから料理開始~完成まで極めて短時間。
要は、気軽に使えて使い勝手がいい。
すなわち生活に活かせる。
ここじゃないですかね。
あえてデメリットを挙げるとすれば、、、、
熱しやすく冷めやすいという鋼板性ストーブの宿命として、熾き火が無くなればすぐに本体が冷えていくという点。
そしてこれはモキストーブならではの特徴ですが、やはり薪が燃えるのが早い。(高出力短時間運転型の燃焼なので。)
※ 一方で過剰なまでのエアーで燃やすので、あまり薪の種類やクオリティを選ばないというメリットの裏返しでもある。
※ 多少乾燥が甘くても強引に燃やしていける。ただし、言うまでもなく乾燥していたほうが燃焼効率は上がるのでそれに越したことはないですけどね。
鋳鉄製ストーブは温まるまでに薪も使いますし、時間も掛かりますが一旦温まれば比較的長時間、温かさを持続します。
そしてそこから放たれる柔らかな輻射熱はとても気持ちいいです。
炉の保温性の高さ&二次燃焼システムなどの工夫により多少空気を薄くしても完全燃焼させるようにできているため、薪の燃焼スピードを落とすこともある程度可能です。
難しいところですが、やはり最後はどこを取るかでしょうね。
限りある資源を有効活用するという視点
シリーズのまとめとして、最後にこんな話を。
これは実にシンプルな話なのですが、
薪ストーブは薪を燃やします。
薪ってのは木という命を元にした燃料です。
「薪の持つエネルギーをあますことなく頂く」
薪ストーブってこういうエコな視点が重要視されていそうで…
でも意外に重要視されていない。気がする。笑
(というよりも薪ストーブ愛好家の中でも、そこを意識して使用している層とそうでない層に分かれているようです。どうもそんな印象です。)
でも、エネルギーに対する向き合い方として、
「薪ストーブを通じて」って形は確かに良いんじゃないかと思うんですけどね。
かくいう自分はどうなんだと言われたら甚だ怪しいですが。笑
ともかくそのために何をポイントに考えるかと言うと、技術的には大きく以下の2点+αの追求ということになろうかと思います。
①薪の内包するエネルギー量を100として、100しっかり燃やし尽くす。
(不完全燃焼はまだ燃やせる成分があるのにそれを捨てていて勿体無い。)
つまり燃焼効率の追求です。
②燃やして得られた熱エネルギーをなるべく損失なく暖房の熱として取り出す。
つまり熱効率の追求です。
で、ここで再びモキストーブの登場。
自分が思うに、どうもモキストーブはある意味「炎の鑑賞装置」としての機能をある程度トレードオフする代わりに以上の2点を優先的に追求しようとしている。
だからこそ以上の2点は優れている。
そこまでにして「薪の持つエネルギーを最大限活かす」ことを優先している。
憶測ですが、自分にはそう思えて仕方がないです。
※ あ、iGブースター機は炎きれいですよ。大屋さんの名誉のためそこは補足しておきましょう。
うちの鋳鉄製薪ストーブドブレ640は最高なストーブですが、薪はけっこう使います。笑
クリーンバーンでも触媒機でも同じですが、ある程度の段階までは贅沢にガンガン薪を燃やしてナンボって世界です。
(そういう焚き方しないと性能が発揮されない)
そういう一般的なストーブが木の命を軽視している、ということは決してないですけどね。そこは間違ってもミスリードさせたくないです。
とにかく、今回モキストーブを見せていただいて
- 本体が温まりやすいので巡航温度までの薪の量が少ない
- 炉内に十分な給気が入り、熱と空気の対流が起こることで巡航運転中は十分な完全燃焼が起きている
- 上記の対流効果と本体の素材特性により熱効率がいいので短い燃焼時間でも部屋が暖まる
これはすなわち、薪の消費が少ない、なんて言っちゃえばそれまでですが
「限りある資源を有効活用する」と言っても差し支えないなぁと思いました。
まとめ
さぁ、シリーズ4回分のまとめですが、何回も言いますが薪ストーブの数だけ考え方や燃焼の特徴がある(おそらく)わけです。
なので、ご自身が何を大切にし、何を必要とするか。
そこを見極め、愛すべき道具として生活を彩っていくか。
そこにおいてこのストーブが素晴らしくて、このストーブが劣っている、なんてものはありません。
モキストーブについても同様です。
ドブレでもそうです。
今後薪ストーブの導入をお考えの方においては、是非ご自身にぴったりの薪ストーブに出会われ、素晴らしい薪ストーブライフを迎えられる事をお祈り申し上げます。
今回、縁あって書かせて頂いた「シリーズモキ」。
稚拙なところもある記事ではありますが、そんな皆さまの一助となれば幸いです。
最後に、今回貴重な機会を与えてくださった株式会社愛研 薪ストーブ普及事業 大屋さんに感謝申し上げ一連のシリーズ、締めとさせていただきます。
以上!!
(そういえば今回、アフィリエイト全く貼っていないんですよ!)
一応これも自分なりの誠実さのつもり…笑)